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2024年01月31日 MICE市場トピックス(1月)

毎月、海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。※2023年12月末時点の情報です。

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【欧州市場】

・2023年11月28日~30日にスペイン・バルセロナで開催された、欧州最大規模のMICE見本市であるIBTM Worldに、共同出展者と共にジャパンブースを出展した。見本市は、昨年度を大きく上回る3,600名のホステッドバイヤーをはじめ、総来場者数は10,300名と盛況であった。各商談デスクにも多くのバイヤーが訪れ、活発な商談が行われていた。日本を訪れたことのないバイヤーも多く、新たなデスティネーションとしての日本への関心が高まっている一方、具体的に日本での開催を検討している国際会議や、インセンティブツアーの商談もあり、全体的に訪日への興味関心が高まっていると感じられた。また、昨年と比べ、新しいDMCを探している、あるいはホテル等と直接交渉するルートを確保したいバイヤーの姿も目立った。
・サステナビリティの取り組みとして、会場では来場者のネームホルダーが昨年のプラスチックから紙に変更されていたり、リフィルが可能なCity Waterのボトルが配布されていた。ジャパンブースでも紙の配布物の代わりに、QRコードからデジタルパンフレットをダウンロードして見ていただくようにした他、紙の名刺を持ち歩かないバイヤー向けにQRコードを読み取ることでセラーのメールアドレスが表示されるようなデジタルツールを活用する取り組みを行った。

JNTOブースの様子
JNTOブースの様子
QRコード
QRコード

【台湾市場】

・12月6日に台北市内のホテル(台北晶華酒店)にて、JNTOインセンティブ旅行商談会を開催した。当日は日本から自治体や宿泊施設等のセラー29団体、台湾からは29団体のバイヤーが参加し、日本側セラーによるプレゼンテーションの後、事前マッチング形式と台湾では一般的な商談形式であるフリー形式を併用して商談を実施した。参加バイヤーからは、インセンティブ旅行への支援メニューと補助金、ホテルの情報が役立ったとの声が聞かれ、今後求める情報は、引き続きインセンティブ旅行への支援情報と、新しい観光スポットや食事場所の情報とのことであった。参加セラーからは、台湾バイヤーとの情報交換の場となり、新しいバイヤーとの繋がりもできるなど、有益な機会だったとの声が聞かれた。

商談の様子
商談の様子
JNTO職員による冒頭挨拶
JNTO職員による冒頭挨拶

・コロナ後、台湾南部の高雄市のMICE市場が盛り上がりを見せている。高雄市政府経済発展局によると、2023年に高雄市内で開催された国際会議・展示会は、2023年11月時点で162件に上り、その経済効果は32億元(約160億円)を超え、2023年9月に開催された『国際環境疫学会』の際には、世界60か国から1,200名もの学者・専門家が高雄市に集結したとのこと。2024年も、『アジア口腔顎顔面歯科放射線学会』をはじめとする国際会議や展示会がすでに43件開催予定となっており、MICE市場の活況は継続が見込まれている。(出典:https://edbkcg.kcg.gov.tw/News_Content.aspx?n=FA86438944BB37E5&sms=4773608F226124D4&s=A97204C70E916431)
・高雄市には2023年3月、最大25万トン級のクルーズ船受入が可能な新しいクルーズ船ターミナル「高雄港旅運中心」がオープンした。高雄市港湾部の再開発に伴い、ターミナル周辺には複合型文化施設である「高雄流行音楽センター」や大型展示場の「高雄展覧館」など各種施設が揃っており、同市では空海路双方の活用による交通利便性や整備された環境を強みとして、今後更なるMICE市場の発展を目指していく方針である。

【インド市場】

・これまでインドのインセンティブ旅行は4月~10月に催行されることが多く、次いで11~12月に催行する傾向にあった。これは、インドの会計年度は日本と同じく4月~3月であるところ、社員の年間成績を見てインセンティブ旅行対象者を決定するので、次年度の4月~10月の間に優秀社員に向けてインセンティブ旅行を実施する流れになるためである。しかし、今年は1月から2月にかけても催行が見込めるという新しい傾向が見られる。この理由としては、大企業を中心にインセンティブ予算が増加したことにより、年度末の1~2月にもインセンティブ旅行を催行できるようになったためと考えられる。社員の表彰カテゴリも、インセンティブ予算増加と企業の福利厚生意識の向上も相俟って増加しており、それに伴ってインセンティブ旅行の参加人数やツアー本数も増えている。
・ただし、訪日インセンティブ旅行においては、依然として桜の時期が人気であり、この年度末(1~2月)需要を取り込めているかは不透明である。よって、今後は桜の時期以外の訪日時期分散を企図したプロモーションが有効と思われる。また、インドにおける訪日レジャー旅行は、人気の時期が春(桜)、秋、夏、冬の順となっていて、エリアはゴールデンルート、アルペンルート、北海道が人気となっている。一方、訪日インセンティブ旅行は、時期はレジャー旅行と同じ傾向だが、エリアは基本的にゴールデンルート中心であるので、例えば夏の北海道や冬のアルペンルートなど、新たなエリアを提案していきたい。

【スペイン市場】

・スペインの首都マドリードは、2022年のICCA(国際会議協会)都市別国際会議開催件数で世界6位に位置する都市であり、2023年12月1日アラブ首長国連邦のドバイで行われた旅行・観光産業の世界的な賞であるワールド・トラベル・アワードのグランド・ファイナル・ガラ・セレモニーにおいて、「World's Leading Meetings & Conference Destination」賞を受賞し、5連覇となった。マドリード市は近年、医療分野における国際会議誘致に専念しており、2024年も、世界血友病会議(WFH World Congress)、ヨーロッパ血液学会議(EHA 2024 Hybrid Congress)、第60回欧州糖尿病学会(EASD 2024)といった医療分野の国際会議を開催予定である(出典:https://www.larazon.es/madrid/madrid-consolida-como-referente-mundial-congresos-medicos_20240101659202e4872b82000109dd77.html)
このように先進都市であっても、注力分野を決め戦略的に取り組むことで、会議開催地としての世界的地位の安定と向上を図ることができると考えられる。なお、スペインは2022年度ICCAの国別国際会議開催件数で世界2位、日本は同12位。

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