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2024年03月04日 MICE市場トピックス(2月)

毎月、海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。※2023年1月末時点の情報です。

本情報の転送や媒体掲載はご遠慮ください。

【タイ市場】

<インセンティブ旅行商談会>
1月23日にバンコク市内でJNTOインセンティブ旅行商談会を実施し、日本から自治体関係者や宿泊施設など29社、現地旅行会社37社が参加し、午前はセラー及びJNTOバンコク事務所からのプレゼン、午後は商談を実施した。参加バイヤーから「商談予定が入っていないセラーと話したい」というリクエストが寄せられたため、急遽自由商談の時間を設けるなど活発な商談となった。「コロナで担当者が代わりこれまで途絶えていたが、今回改めて関係構築を図ることができた」「新たな地域の魅力を伝えることが出来、滞在数が増えることを期待したい」といったセラーの評価もあった。

JNTOバンコク事務所によるプレゼンテーション
JNTOバンコク事務所によるプレゼンテーション
商談の様子
商談の様子

<The 10th Thai International Travel Fair Business Matching 2024>
1月24日、JNTOバンコク事務所は、バンコク市内で開催された”The 10th Thai International Travel Fair(TITF) Business Matching 2024”にブース出展した。これは、全世界の政府観光局、自治体、旅行会社、宿泊施設等のセラーが約240団体、バイヤーのタイ旅行会社約400団体が参加する、タイで最大規模の商談会である。バンコク事務所は、MICEデスティネーションとしての日本に認知度拡大のために、MICEウェブサイト、BtoBサイト、インセンティブコンテンツ素材、JNTOの支援内容を説明し情報提供を行った。短期間に数多くの旅行会社と面談ができるため、有力な旅行会社の新規開拓やネットワーキングの良い機会となる。商談では「訪日を取り扱うランドオペレーターを紹介してほしい」「訪日リピーター層がまだ行ったことがない新しい観光地情報が欲しい」「自治体等からのセミナー・商談会開催やタイ語での情報発信はとても役立っている」などの意見が聞かれた。

<チェンマイのインセンティブ旅行会社へのヒアリング>
1月11日~12日、JNTOバンコク事務所はチェンマイの旅行会社4社にインセンティブ旅行についてヒアリングを実施した。
・タイ北部最大の都市であるチェンマイの旅行会社は、COVID-19終息後は募集型旅行の取り扱いは行っておらず、インセンティブ旅行を中心に事業展開をしているというところが多い。タイの商習慣を充分に理解しているという理由からバンコクにあるランドオペレーター経由で手配をしているところが大半であった。
・商社、病院、経営者、政府関係者とインセンティブ旅行を申し込む団体の業種形態は様々である。
・ベトナム、台湾がトップ訪問先となっている。理由としては、直行便が充実していること、低価格であることが挙げられる。特にベトナムは訪日旅行の2分の1以下の費用での提供となっている。また台湾はキックバックや入国手続の支援申込手続きが簡易簡素である等、旅行会社やその顧客に分かりやすいメリットを提供していることも選ばれる理由のひとつとなっている。
・日本の人気は非常に高く需要はあるものの、直行便数が限られること、フライト、宿泊等の高価格化などから近隣諸国を選定する傾向が強くなっている。旅行会社からはチェンマイ―東京の直行便の就航を希望する声が多く聞かれた。
・日本へのインセンティブ旅行の訪問先として人気なのは東京、大阪、北海道であるが、富士山を見たいという顧客が多く、都市+富士山のツアーへの関心がとても高い。

チェンマイの旅行会社を訪問
チェンマイの旅行会社を訪問

【米国市場】

・JNTOロサンゼルス事務所は、1月17日、ロサンゼルスのピーターセン自動車博物館で開催されたMeeting Professionals International(MPI:ミーティングプランナー等のMICE専門家が加盟する国際団体)の南カリフォルニア支部のイベントに出席した。本イベントには約108人の参加者が集まり、ネットワーキングレセプションから始まり、支部の活動や活動に関する最新情報が発表される形式で、有力なMICE専門メディアであるNorthstar Meetings Groupのデビッド・ブランズフィールド副社長による、会議インセンティブ業界の現状および予測される状況に関するプレゼンテーションが行われ、同グループが実施する年次ミーティング業界動向調査(2023年12月、365人のミーティングプランナーが回答)から得た考察を紹介した。
・この調査では、不確実性とコスト上昇の中で、ミーティングプランナーの楽観的でありながら慎重な見方が明らかになり、デジタルよりも対面イベントへの需要が継続しているとしている。2024年は前向きな見通しで、全回答者のほぼ半数が国境を越えたイベントを計画または検討していた。
・イベントの開催地としては、ヨーロッパとカリブ海地域がトップの選択肢であり、アジアも大きな関心を集めていた。イベント参加員数は増加が予想されるが、イベント予算に関してはやや保守的なアプローチで、包括性(DEI)、持続可能性、CSR の取り組みよりも、コストの抑制と投資収益率を優先する傾向にある。
・イベントを成功させるためにホテルパートナーと緊密な関係を促進することがますます重要視されている。AI の日常業務への影響は最小限であり、近い将来にAIによる大きな変化が起こると予想するミーティングプランナーは少なかった。

MPIのネットワーキングレセプションの様子
MPIのネットワーキングレセプションの様子

【フィリピン市場】

・例年、1月はクリスマス休暇の後で旅行需要の落ち込む時期であるが、今年はコロナ後のリベンジ消費また円安等による訪日旅行人気の下支えもあり、訪日需要は好調を維持している。訪日ビザ手配を取り扱う旅行会社の話によると、最近では企業のインセンティブツアーの申し込みも増えている。一方で、競合国も様々なプロモーションを展開しており、特に香港は無料航空券やナイトタイムエコノミーの促進を目的とした100香港ドル分のバウチャーの配布、さらに11月の香港ディズニーランドにおける新エリアの開業に併せて大々的な広告キャンペーンを行う等、フィリピンにおける旅行需要の取り込みに積極的である。
・これらの競合国を抑えて日本を旅行目的地として選択してもらうためには、特にインセンティブ旅行においては、各社の興味関心にあった旅行目的地及びコンテンツを提案すること、また受け入れ側とのマッチングにより訪日旅行の満足度を高めることが重要である。訪日旅行の宿泊先が東京と大阪に集中する等、旅行に関しては比較的保守的なフィリピン市場だが、インセンティブ旅行で地方を訪問し、口コミでその魅力が広まることにより、新たな旅行先としてのブームが起きることを狙いたい。

フィリピンからの訪日インセンティブ旅行の様子
フィリピンからの訪日インセンティブ旅行の様子

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