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2024年04月30日 MICE市場トピックス(3-4月)

海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。

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【フランス市場】

・JNTOパリ事務所は、3月12日(火)にスイス・ジュネーヴ市内の日本食レストランにて、MICEプランナー15名を対象としたセミナーを開催した。当日は、ANAジュネーヴ支店と共に日本のMICEコンテンツについてプレゼンテーションし、その後、参加者とのネットワーキングを行った。参加者へのアンケート結果は、4段階評価で最上位評価100%と、満足度は非常に高かった。日本の最新の観光やMICEに関する情報が直接得られたことに加え、日本茶試飲のアクティビティも喜ばれた要因かと考える。なお、パリ市内ホテルで2月29日(木)にJALパリ支店、JTBパリ支店と共にJNTOが主催したMICEプランナーを対象としたセミナー(詳細はMICE市場トピックス3月号https://mice.jnto.go.jp/news/topics/2373.html
参照)は、満足度最上位90.9%と高い評価を得た。
・3月14日(木)にパリ市内の高級イベント・スペースであるパヴィヨン・ドフィヌで、MICE関係者のための商談会Pure Meetings & Eventsが実施され、セラ―として参加した。同商談会には109団体がセラー出展したが、アジアからはJNTOとスリランカのホテルチェーンの2団体のみの参加だった。事前アポイントに加えウォークインの商談も多く、1日のみの商談会ではあったが28件と多くの商談を行うことができた。訪日経験のないバイヤーが多く基本的な情報を求められることが多かったが、中には訪日予定のある団体も複数あったほか、大阪・関西万博の手配方法についての質問もあった。    

セミナーの様子
セミナーの様子
Pure Meetings & Events会場
Pure Meetings & Events会場
Pure Meetings & Events商談会の様子
Pure Meetings & Events商談会の様子

【英国市場】

JNTOロンドン事務所は2024年2月26~28日に、ICCA英国・アイルランド年次支部会議に初めて出席した。この会議には、英国とアイルランド全土から CVB、会場、PCO、協会、NPO から 145 名の代表者が出席した。そのうちおよそ4割が初参加だった。
このカンファレンスでは、持続可能性(経済、社会文化、環境)、業界における AI の台頭と利用、イベントの与える影響とレガシー、包括性など、幅広い業界のトピックが取り上げられた。その中でも、JNTOではもっとも多くのCO2が排出されるといわれる交通手段に着目。英国及びヨーロッパでは、環境への影響を軽減するため電車利用が推奨されているが、公共交通機関の運行は国によっては安定しておらず遅延・欠便がしばしば発生するため、イベント参加者は不便さを感じている。そのため、日本は優れた公共交通システムがあり、東京から離れた都市でも、問題なく開催できることが日本でイベント開催する場合の強みであることをPRした。
写真提供元:https://www.linkedin.com/company/icca-uk-ireland/posts/?feedView=all

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子
討論会の様子
討論会の様子
参加者集合写真
参加者集合写真

【中国市場】

MICEを取り扱う旅行会社数社によると、いくつかの業態(電機メーカー、保険会社、製薬会社等)から東京、関西方面およびゴールデンルートを含む、数十人~200人程度のインセンティブツアーの問合せがあるとのこと。ただ、宿泊施設等の価格が予算に合わないこと、ビザ取得がハードルとなり、価格とビザ取得の両面で渡航しやすい東南アジア(シンガポール、タイ、マレーシア)に決定するケースがある模様。
 南京にある大手オンライン旅行会社で、MICEも取り扱う「途牛」によると、上記同様に訪日インセンティブツアーは価格とビザ取得面の要因で成立しない場合があるものの、最近はクルーズでのMICE利用が増えているとのこと。2024年春頃から、上海発の大型クルーズ船(約5,000人以上収容)が随時復便しており、飛行機を利用したツアーよりも安価で利用が可能。また、クルーズ船の場合、船舶上陸許可制度(実質ビザ不要)により寄港地での一時滞在も可能で、船内では会議室を貸し切りチームビルディングアクティビティ等も実施できることから、クルーズ船利用が一部増加しているようだ。

【スペイン市場】

スペインにおけるMICE事業関係者やトラベルマネージャー、観光業の専門家と意見交換を行う際には必ずサステナビリティが課題の一つとなり、持続可能な旅や体験はインセンティブ旅行では欠かせないコンテンツとなっている。サステナビリティ自体はすでに目新しいものではないにも関わらず、一般観光の旅行者には余り浸透していないという印象であるが、企業旅行やインセンティブ旅行の場合は、必ずサステナビリティの要素が求められるようになっている。このため、JNTOマドリード事務所では、MICEとサステナビリティの浸透度やトレンドに関して、専門家等にヒアリングを行った。

【アクシオナ社 インセンティブ旅行担当者】
スペインの再生可能エネルギー関連事業を主軸としたコングロマリット。スペインでは再生可能エネルギーの最先端技術を持つ企業が多く、中でもアクシオナ社は、国内外と共に様々な文化事業への支援も行っている。
・同社社員に向け企画するインセンティブ旅行では、常に環境保護を配慮した旅行企画を実施しており、MICE業界内でもグッドプラクティス事例として取り上げられている。社内の基本方針である環境保護の一環として、訪問先において環境への悪影響を最小限に抑えることに協力し、そのためにカーボンフットプリントの最小化に貢献する航空会社を利用している。
・目的地において文化交流に繋がる旅行を推進している。地元市民との交流に加えて、例えばその土地の自然を楽しみながら郷土料理を食するなど、体験型内容を重要視したインセンティブ旅行が重要。
・オーバーツーリズム化によって過密状態になっている目的地や観光スポットを避け、ウェルネスを尊重した旅が好まれる。インセンティブ旅行ではウェルネスは欠かせない要素である。スペインにおけるMICE事業は近年増加傾向にあり、アクシオナ・コングロマリットの中の1社であるアクシオナ・クルトゥラ社が同社社員に向けて国内インセンティブ旅行を企画する際には、美しい景観と大自然に恵まれている地域(ランサローテ、リベラ・デ・ドゥエロ、セラニア・デ・ロンダ、イビサ島北部など)を選び、そこで体験型観光、食文化体験、アウトドア活動、ウェルネスやマインドフルネスを結び付けるプログラムを実施している。
【スペインの観光学専門アナリスト アルトゥロ・クロスビー氏】
・サステイナブル旅行を促進する場合、今話題となっている持続可能なMICEやインセンティブ旅行をからスタートさせることも現実的な手段である。
・レジャー旅行より単価が高いインセンティブ旅行などでは、環境保護への配慮やウェルネスなどの体験など盛りだくさんな内容が組み込まれ高額な旅行となっても、旅行者の満足度が優先されるため、全てにおいて質の高いサステイナブルな旅行をつくり上げることが可能となる。
・サステナビリティと健康はインセンティブ旅行に参加する旅行者が最も重要視する要素に含まれ、更にインセンティブ旅行参加者に良好な影響を与え、参加者自身のウェルネスにもつながることを可能することも重要である。

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