「第17回国際義肢装具協会世界大会(ISPO2019)」を開催して

社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団
理事 兼 総合リハビリテーションセンター所長
兵庫県立福祉のまちづくり研究所長
ロボットリハビリテーションセンター長

陳 隆明 様 MICEアンバサダー

国際会議主催者の生の声をお伝えするコーナー。今回は2019年10月に神戸市で開催された「第17回国際義肢装具協会世界大会(ISPO2019)」を主催された陳隆明先生にお話を伺いました。陳先生は、2014年よりMICEアンバサダーとして広くご活躍いただいております。

「国際義肢装具協会世界大会」は30年ぶりに再び神戸で開催されました。会議は神戸国際展示場で開催され、世界各国から義肢・装具、移動器具や支援器具を必要とする人々のケアに携わる専門家が一同に会し、活発な議論が行われ会議は大盛況のうちに終了しました。またワールド記念ホールではパラスポーツスポーツフェスティバルが併催されました。2020年にパラリンピックを控え、義肢装具やパラスポーツへの関心が高く、多くの市民の方がパラスポーツを体験し楽しんでいました。

会議概要

会議正式名称 第17回国際義肢装具協会世界大会 
World Congress of the International Society for Prosthetics and Orthotics 2019(ISPO2019)
開催期間 2019年10月5日~2019年10月8日
開催都市/会場 神戸 / 神戸コンベンションセンター
参加者数 5,000名
ウェブサイト https://www.ispo-congress.com/
日本へのISPO誘致成功のポイントや工夫した点を教えてください。

様々な国際会議がありますが、ISPOのように大規模な国際会議では競合国との誘致合戦が激しく簡単に誘致はできません。ISPOに関していえば、国や行政のサポートがあるかどうかがポイントでした。最低でも地方自治体レベルでの協力が必要ですが、今回の誘致では兵庫県や神戸市の協力があっただけなく、内閣総理大臣はじめ所管大臣から支援レターをいただくことができたこともあり、国内のサポート体制が万全でした。また財務的な面では、市の財団から補助金があったのも大きなポイントです。競合国はメキシコ、ドイツ、オランダでしたが、日本ほどのローカルサポートがなかったこともあり、投票では大差で勝利することができ、神戸への誘致が成功しました。

誘致活動で苦労した点はありますか?

誘致活動はゼロからのスタートでした。台湾でジャパンナイトを実施したり、ISPO会長や開催地決定投票権をお持ちの海外有力者を日本に招請するなど、数少ない人数で誘致活動を3年間行ってきたので、感慨が大きいです。JNTOの支援だけでなく、会議運営会社である日本コンベンションサービスが二人三脚で誘致に関わっていただいたことが大変心強かったです。

実際に会議を開催して参加者からのフィードバックはいかがでしたか?

「大成功ですね!」「こんな素晴らしい学会を運営してくれてありがとう」、といった有難い声を数多くいただきました。今回運営にあたって、せっかく日本で開催するので日本のおもてなしを参加者に体験してほしいと思い、随所に工夫を凝らしています。会場入り口には、飲食の屋台テントを設置しました。その結果参加者がその場に留まり、活気と賑わいが出たと思います。また会議場にクロークがなかったため、会議室を借りてクロークススペースを作りました。さらに同時通訳を全てのセッションに入れました。このような日本のおもてなしを体現することで参加者に満足してもらえたと思います。また展示会場に日本パビリオンを作り、最新の技術を展示しました。通常中小企業は言語の問題もありこういった国際会議に出展することが少ないのですが、せっかく日本で開催される機会であるので、通訳サポートを手配するなどして声がけを行い、30社程度の企業が出展してくれました。

市民や地域からも国際会議が歓迎されていると感じますか?

隣の会場であるワールド記念ホールではパラスポーツスポーツフェスティバルも併催されました。前回大会まではこのような取り組みはなかったのですが、今回は来年パラリンピックを控えていることもあり、兵庫県と協力してイベントを企画しました。イベントには家族連れなど多くの市民の方が参加しパラスポーツを楽しんでいました。一般の方にも義肢装具やパラスポーツに興味を持ってもらうことができ、良かったと思います。

国際会議を日本で行う意義を教えてください。

日本は高機能・高文明社会なので、会議件数だけではなく、どのような国際会議を開催するかが大事だと思います。今回のISPOのテーマは「Basics to Bionics」、従来の技術からロボット最先端技術への転換というのがキャッチフレーズでした。この神戸大会から、ロボット技術を取り入れているものが多く展示され、新しいインスピレーションが生まれた会議となりました。日本で会議を開催するとこのような新しいアイディアが生まれることが、国際会議の意義だと思います。また懇親会では1000人の参加を頂き、日本の古典文化である和太鼓演奏、人形浄瑠璃、さらには日本の獅子舞を日本サイドで用意しました。海外参加者の評判はすこぶる良く、日本の良さを実感していただけたと思います。日本でやる意義として、このような文化のおもてなしも重要な要素であると強調したいです。