「2013年京都国際地理学会議」を開催して

京都大学大学院文学研究科 教授

石川 義孝 様

国際会議主催者の生の声をお伝えする本コーナーの第19回目は、2013年(平成25年)8月に京都市で開催された「2013年京都国際地理学会議」で組織委員長を務められた京都大学大学院文学研究科 教授 石川義孝 様よりコメントをいただきました。

会議概要

開催期間2013年(平成25年)8月4日 から 8月9日 まで
開催都市/会場京都市 / 国立京都国際会館
参加者数1,431名(外国からの参加者数743名)

立候補について

日本として立候補するに至った経緯をご教示下さい。誘致から開催決定までのプロセスについても教えてください。

世界最大の地理学組織である国際地理学連合(International Geographical Union, IGU)は、4年に一度国際地理学会議(International Geographical Congress, IGC)を開催し、その中間年に地域会議(Regional Conference, RC)を開催してきました。日本では、1980年に東京でIGCが開催されたため、今度はRCを京都に招致しようという提案が、2006年12月に日本学術会議のIGU小委員会(現在のIGU分科会の前身)で行われました。ライバルは、クラクフ(ポーランド)とサンチャゴ(チリ)でした。2008年5月にモスクワで開かれたIGU役員会で、招致のプレゼンを行った結果、2013年の京都RC開催が決まりました。

立候補する上で工夫された点をご教示下さい。

京都RCの実現のため、招致委員会を中心に招致計画書を作成し、2007年12月にIGU役員会に提出しました。なお、IGUの公式言語は英語と仏語なので、両言語による同一内容の招致計画書を用意しました。一方、ポーランドとチリは、仏語の計画書は未提出だったようです。また、日本からは、私を含め3名がプレゼンに出向きましたが、ライバルの両国は、それぞれ1名ないし2名のみで対応したようでした。

国際会議の開催地を決定する権限を持つ組織の側では、関係書類が完璧に揃い、一人でも多いプレゼンターがきている候補地のほうが、招致に対する熱意がそれだけ強くうかがわれるので、好意的な評価をするのではないかと推察されます。

「立候補で成功するための秘訣」は何でしょうか。

招致計画書作成の段階で、近隣の台湾、韓国、ロシアへの国際巡検を計画し、それへの協力を約束する文書を3ヶ国からいただき、それを計画書の中に挿入しました。また、地元の京都市からは、この国際会議に対し300万円の助成金を提供いだける旨了解いただき、それを明記した京都市長作成の文書も挿入しました。さらに、招致のプレゼンにモスクワに出かけた際には、京都文化交流コンベンションビューローからご提供いただいた地図や観光パンフレットを持参し、プレゼン当日に配布しました。

会議開催に関し、地元や周辺国からの協力も取り付けていることを示す資料の添付は、国際会議の招致成功の重要な鍵となるように思います。

会議開催について

会議を実際に開催するにあたって工夫した点をご教示下さい。

経費の確保は、主催者として最も気を遣った点です。1980年のIGC東京大会の際には、5,000万円を超える募金が集まりました。しかし、われわれの場合、2008年秋のリーマン・ショックに起因する不況という経済環境では、そのような多額の募金が難しいとの判断から、募金の目標額は2,000万円としました。幸い、最終的にこの目標額を上回ることができました。

また、民間の財団にも積極的に応募しましたし、地理学関係の国内の学協会にも財政支援を求めました。さらに、日本学術会議との共催が閣議で了承されたため、会場使用料や外国人の基調講演者に対する滞在費として、多額の助成をいただいたことも、とても有り難かったです。

会議開催後の感想

会議開催において心に残ったことがありましたらご教示下さい。

開催の4ヶ月ほど前まで、会議の収支が大丈夫かどうかについてのしっかりとした見通しが立たなかったことから、組織委員会のメンバーは経費節減のため懸命に働かざるを得ませんでした。そのため、参加者の便宜や会議を盛り上げるための企画についても知恵を絞り、様々な工夫をしました。その結果、会議開催中、多くの参加者から、ホスピタリティにあふれ、且つきびきびとした会議運営に対する賛辞が寄せられました。また、会議後、IGU役員の方々からも、会議が大成功であった旨のお言葉が次々に届き、公式ホームページで行った一般参加者に対するアンケート調査でも、会議に対する満足度がかなり高かったことがわかりました。さらに、開会式に御臨席いただいた秋篠宮殿下のご祝辞は、ご自身のご研究の経験を踏まえて、地理学の統合的な視角の重要性を強調され、組織委員会のメンバーのみならず、会議参加者全員に強い感銘を与えられました。以上に対し、主催者としてとても嬉しく思いました。

会議が始まるまでは無我夢中でしたが、会議は大成功だった、という評価を聞いて、それまでの苦労が報われたという思いがわき上がり、たいへん安堵しました。