「第60回日本生殖医学会学術講演会」を開催して

日本生殖医学会理事長(国際会議会長)
徳島大学医学部長

苛原 稔 様

国際会議主催者の生の声をお伝えする本コーナーの第27回目は、2015年(平成27年)4月に横浜市で開催された「第60回日本生殖医学会学術講演会」で地域組織委員会長を務められた徳島大学医学部長 苛原 稔 様よりコメントをいただきました。

会議概要

会議正式名称第60回日本生殖医学会学術講演会
IFFS/JSRM International Meeting 2015
開催期間平成27年4月26日から29日まで
開催都市/会場横浜市/パシフィコ横浜
参加者数約2000名(外国からの参加者数約200名)
ウェブサイトhttp://iffs2015.umin.jp/index.html

立候補について

日本として立候補するに至った経緯をご教示下さい。また、誘致から開催決定までのプロセスについても教えてください。

国際生殖医学会連合(International Federation of Fertility and Sterility : IFFS)は世界の約70カ国の生殖医学・医療(不妊治療の扱う学問、生殖補助医療などの講演がある)を所掌する学会の連合です。
3年毎に5大陸を回って開催されます、総会(執行部交代などを決める)を併催する学術講演会である「Annual Meeting」に関し、1970年に東京で開催されてから日本では開催されていないこと、アジアの生殖医療が爆発的に巨大化している中で日本がリーダー的な立ち位置を明確にすることなどから、2016年に予定されるアジア・オセアニア地区での第22回IFFS Annual Meetingに立候補することにしました。
2016年の開催地を決める2011年の6月の選挙では、インドのハイデラバードと決戦になり、残念ながらインドに決まりました。しかし、理事会での投票が伯仲したこと、日本の国際学会開催能力はインドを上回っていることと評価されたこと、インドに決定した裏には巨大な人口を抱えた開発途上国での開催を後押しする国際保健機構(WHO)などの政治的な働きかけが少なからずあったこと、などがあり、特別に2015年に日本で総会を併催しない学術講演会のみの「International Meeting」を開催するよう、IFFS理事会から要請され開催に至りました。

立候補する上で工夫された点をご教示下さい。

投票権を有する理事のうち過半数を占める欧米の理事達は、先進国と発展途上国が入り混じったアジア・オセアニア地域への理解度は低く、各国の実際の開催能力や医療の現状を知らない理事が多いので、立候補するにあたっては、1)日本の生殖医療のレベルが世界トップにあること、2)医療においては日本がアジアのゲートウェイであること、3)日本の学会開催能力が優れていること、を強調することを基本的なコンセプトにしました。
競争相手としては、豪州、シンガポール、中国、インドなどが予想され、日本が安全な国であること、横浜が便利な場所で、かつ国際会議に適した施設群を持つこと、和のおもてなしを強調し、日本・横浜が会議に適していることを理解してもらう書類やパンフレットを作成して配布するとともに、繰り返しホームページや投票権をもつ理事達にメールを配信しました。また、主要な理事を機会あるたびに日本に招聘して、日本の良さをアピールしました。

「立候補で成功するための秘訣」は何でしょうか。

Annual meeting選挙では選出されず、誘致は成功したわけではありませんが、特別のInternational Meetingを誘致できたことは、Site Visitを2回受け入れ、また、主要理事を機会あるたびに日本に招聘して、日本の学会運営の手際の良さ、横浜の素晴らしさ、パシフィコの会議場としての立地の良さを強調できたことに尽きます。
横浜市には申し訳ありませんが、当初「横浜」の知名度は思ったほどではなかったです。地図で横浜の位置を示すと、成田空港から東京を素通りしているのは遠いなとの印象があるようでした。しかし、実際にsite visitで来た幹部や事務担当者の考えは来日前と帰りとでは大きく変わったようです。パシフィコ横浜およびその周辺の環境は学会開催地として大きく評価されたと思います。富士山や東京、さらには京都にも近いとのイメージは理解されたと思います。さらに、羽田に国際便が乗り入れたのは追い風となりました。

会議開催について

会議を実際に開催するにあたって工夫した点をご教示下さい。

日本語のセッションにおいて日本語で講演する場合にも、スライドは英語で解りやすく作ってもらうことを義務付けたので、外国人でも専門領域なのである程度理解でき、学会参加の外国人には好評でした。パシフィコ横浜の施設群は問題ありませんでした。国際会議の会場としてパシフィコ横浜を使う限り、あまり心配せずに開催を引き受けられると思われました。

会議開催後の感想

会議開催において心に残ったことがありましたらご教示下さい。

International Meeting開催により広く海外に日本、横浜を知らせることができました。開催の前週まで雨が降って寒かったのですが、開催期間は素晴らしい晴天が続き、暖かくて天候には恵まれました。期間中のエクスカーションで海外参加者に箱根に行ってもらい、日本人もあまり見ない素晴らしい富士山を満喫できて、とても喜んでいました。
ただ、4月末という世界的も学会開催が多い時期であったこと、近年の日本と近隣の国々との軋轢があったこと、産婦人科関係の学会が直前にパシフィコ横浜で開催されていたこともあり、外国からの参加者が予定を下回ったことは残念でした。
JNTO、パシフィコ横浜、インターコンチネンタルホテル、横浜ベイ東急ホテルの担当者の皆様はとても協力的でご支援を頂きました。気持ちよく学会の開催ができ、感謝しています。
これからも引き続いて誘致を考えている産婦人科領域の国際学会誘致に全力を挙げたいと考えています。