<第25回目>
「国際岩の力学会2014年国際シンポジウム-第8回アジア岩の力学シンポジウム(ARMS8)」を開催して

ARMS8組織委員会委員長
山口大学大学院教授

清水 則一 様

国際会議主催者の生の声をお伝えする本コーナーの第25回目は、2014年(平成26年)10月に札幌市で開催された「国際岩の力学会2014年国際シンポジウム-第8回アジア岩の力学シンポジウム(ARMS8)」で組織委員会委員長を務められた山口大学大学院教授 清水 則一様よりコメントをいただきました。

会議概要

会議正式名称2014 ISRM International Symposium - 8th Asian Rock Mechanics Symposium (ARMS8)
(和名)国際岩の力学会2014年国際シンポジウム-第8回アジア岩の力学シンポジウム(ARMS8)
開催期間平成26年10月12日 から 10月17日 まで
開催都市/会場札幌/ロイトン札幌
参加者数620名(外国からの参加者数274名)
ウェブサイトhttp://www.rocknet-japan.org/ARMS8/

立候補について

日本として立候補するに至った経緯をご教示下さい。また、誘致から開催決定までのプロセスについても教えてください。

国際岩の力学会(ISRM:加盟国55、会員数約7,700)は毎年、加盟国のいずれかの地で国際シンポジウムを開催します。ISRM国際シンポジウムは、理事会、加盟国代表者会議、加盟国地域会議、技術委員会等を併催するその年のISRMのメインの学術シンポジウムとなります。開催国は、開催2年前の加盟国代表者会議において、立候補国の代表者によるプレゼンテーションを行い、理事、加盟国の投票により決定します。一方、今回のシンポジウムの主体となるアジア岩の力学シンポジウムは2年毎にISRMのアジア加盟国(13カ国)によって開催され、主催国は開催3年前のアジア地域の代表者会議で決定されます。我々、一般社団法人 岩の力学連合会(ISRM日本代表機関)は、まず、第8回アジア岩の力学シンポジウム(ARMS8)を開催することを決め、アジア地域代表者会議で承認された(2011年)後に、ARMS8を2014年のISRM国際シンポジウムとして開催するため立候補しました。2012年の加盟国代表者会議(ストックホルム、スウェーデン)において、欧州岩の力学シンポジウム(EUROCK2014)をISRM国際シンポジウムとして立候補したスペインと争い、プレゼンテーションと投票の結果、日本が開催権を得ました。

なお、岩の力学連合会は、過去30年余りの間に3回のISRM国際シンポジウム・会議を開催しており、前回開催(2014年)から10年ぶりとなりました。

立候補する上で工夫された点をご教示下さい。

上に述べましたように、本シンポジウムは国際学会(ISRM)が毎年主催し、開催地は加盟国代表者会議の投票で決まるため、主催権を得ようとすると、日頃から国際学会に国として貢献するととともに、会員が学会活動で活躍していることが重要です。その上で、立候補の周知、開催説明資料の作成、プレゼンテーション内容の充実は欠かせません。

本シンポジウムでは、開催説明資料、加盟国への事前のアピール、当日のプレゼンテーションがキーでした。準備に当たっては組織委員長候補者が責任を持ち、専門分野については、岩の力学連合会の賛助会員(会社、各種機関)と個人会員からの協力(情報、魅力ある写真の提供等)、また、観光・地域の魅力については、JNTO、開催地(札幌)コンベンション機関、旅行業社からの協力(プロモーションビデオ、観光案内、写真等の提供)を得て進めました。資料作成においては、学術専門関係だけでなく、観光・地域コンベンションに関わる関係者の強力な支援が重要です。ただし、どのような支援を必要としているのか、要請事項を明確にする等、主催者が全体をマネージすることがポイントと思います。

「立候補で成功するための秘訣」は何でしょうか。

開催地元の支援は運営の面で重要です。今回、当初、候補地2か所に足を運んだところ、いずれも、開催候補会場の方だけでなく、地元のコンベンション関係者が待ち受けて支援の説明と助成申請に関する懇切な助言があり大変助かりました。

主催者としては、支援いただく人や機関に対して、どのようなシンポジウムを開催したいか、規模やコンセプト等を明確に伝えることが肝要であり、支援側には支援できることを明確に示していただくとともに、主催者の要望に耳を傾け、ともにシンポジウムを成功させる観点から協力いただけるとありがたいです。もちろん、財政面の支援の充実もお願いしたい点です。なお、助成枠は限られているため、主催者としてはできるだけ早めに情報を得て手続きすることがポイントと思います。

開催権を得るためのプレゼンテーションでは、観光等魅力を紹介するプロモーションビデオは効果がありました。このようなビデオは主催者で制作することは困難なので、国、また、開催地元で制作されているとありがたく思います。今回、JNTOから新旧2種のビデオを提供いただき、プレゼンの際、紹介したところ好評を博しました。開催権を得た要因の一つと考えています。特に、短いバージョンからフルバージョンまで整備されていて、その後の広報でも、状況に応じて使い分けることができました。今後とも、コンテンツを充実していただければ幸いです。

会議開催について

会議を実際に開催するにあたって工夫した点をご教示下さい。

組織

運営方針を決め国際連携を図る組織委員会、学術関係の責任を持つ学術部会、開催地元で実務を担う実行部会、海外メンバーを中心とした国際アドバイザリー委員会を設置し、役割と権限を明確にして運営しました。各委員会は広く協力が得られるよう産官学の連携組織としました。

経費・資金

シンポジウムは、岩の力学連合会が準備したシード資金、参加者登録費、助成金、寄附金、展示会出展料により運営しました。

助成については各種申請を積極的に行い、結果的には科研も含め4件の助成を得ることができ、JNTOの寄附金募集・交付金交付制度の認定もいただきました。助成のおかげで、参加登録費を計画通り抑えることが可能となり、これが参加者増加の一因となりました。また、寄附は、参加する学生・若手技術者の支援に活用することを目的として一般募集するとともに、関係各社に直接説明とお願いをしたところ計画以上の賛同を得ることができました。寄附金は、学生参加費の低減(一般参加登録料の1/5)、学生・若手技術者奨学金(公募し審査の結果、海外からの参加者11人に授与)に活用しました。このことが国内外から130名に及ぶ(参加者全体の約20%)多数の学生参加につながったと考えられます。

論文募集・参加者への広報

シンポジウムのウェブ、学会のニュースレター等による一般的な広報に加え、関連する国際シンポジウムの主催者と連絡を取り、シンポジウムに参加し、セレモニーやバンケット等の際に参加者全員に対してプレゼンを行う等、積極的なプレゼン広報を行いました。さらに、学会加盟国、国際学会技術委員会、また、国内においても丁寧な広報を続けたことが、過去最多の投稿論文数、参加者数につながったと思います。

当日運営

総務担当を司令塔として各種の役割を明確にして運営しました。国際会議支援業社も採用しましたが、情報の共有を図り提案を受けつつ、あくまでもマネージは主催者が行うことが大切と思います。日本では留学生も含めて学生の質が高く、簡単なオリエンテーションを行うことで、会場スタッフ等としてスムーズな運営に貢献いただき、特に、海外参加者からその活躍ぶりが称賛されました。

会議開催後の感想

会議開催において心に残ったことがありましたらご教示下さい。

我々の分野において、過去最大規模のシンポジウムとなり、充実した学術・技術内容に加えて、活気があり、かつ、和やかなシンポジウムの雰囲気が国内外から高い評価を受けました。また、シンポジウムの期間中から終了後も、多くの方々から感謝の言葉をいただくことができ、主催者として大変嬉しいことでした。

シンポジウムの明確なコンセプトの提示、地道な広報活動、多くの方々が参加可能な工夫、学生・若手の支援、さらに、多くの組織、個人の支援が成功に結び付いたと考えています。ご支援とご協力をいただいた関係組織、また、関係各位に心より感謝します。