「子ども虐待防止世界会議 名古屋 2014」を開催して

子ども虐待防止世界会議 名古屋2014実行委員会
実行委員長

奥山 眞紀子 様

国際会議主催者の生の声をお伝えする本コーナーの第24回目は、2014年(平成26年)9月に名古屋市で開催された「子ども虐待防止世界会議 名古屋 2014」で実行委員長を務められた奥山 眞紀子様よりコメントをいただきました。

会議概要

会議正式名称子ども虐待防止世界会議 名古屋 2014 (ⅩⅩth ISPCAN in NAGOYA, JAPAN)
開催期間平成26年9月14日 から 9月17日 まで (プレカンファレンス 9月13日)
開催都市/会場名古屋/名古屋国際会議場
参加者数2,378名(外国からの参加者数406名)

立候補について

日本として立候補するに至った経緯をご教示下さい。また、誘致から開催決定までのプロセスについても教えてください。

日本側のホスト団体である日本子ども虐待防止学会(Japanese Society for Prevention of Child Abuse and Neglect; JaSPCAN)は1996年の設立時から国際子ども虐待防止学会(International Society for Prevention of Child Abuse and Neglect; ISPCAN)の支援を受けており、いずれISPCANを日本に招致することを視野に入れていましたが、具体的にISPCAN招致活動が開始されたのは、JaSPCAN設立10周年の2006年頃でした。大会ごとにISPCAN会長や事務局長とコミュニケーションをとって、開催の意思を表明してきました。ISPCAN大会がアジアで続くことを避けるなどの配慮があり、最終的に2011年に申請書を提出、ISPCANでのプレゼンテーションを行い、ISPCANの名古屋視察があり、その後の理事会で決定されました。なお、初めての試みとして、JaSPCANとISPCANの共同大会として、日本の会議名を「子ども虐待防止世界会議 名古屋 2014」としました。

立候補する上で工夫された点をご教示下さい。

JaSPCANは設立時からISPCAN開催を視野に入れており、設立直後から国際委員会を作って、委員1名のISPCANへの参加費の援助を行って来ました。また、ISPCANではパートナー団体として、国際委員会を中心に活動に参加してきました。2007年以降、2年に1回の国際会議、その間にあるアジア地域会議にて、ISPCAN会長や事務局と日本での開催について議論してきました。これらの密なコミュニケーションが今回の招致の背景となっています。なお、開催決定直後からJaSPCAN国際委員長がISPCAN理事として立候補して当選しましたが、早い段階で理事を送り込むことも情報の交換に有用であると考えられます。開催に当たっては、日本ではなじみのうすい協定の締結が必要であり、国際的な司法に詳しい弁護士さんの援助を得たことも安心感につながりました。

「立候補で成功するための秘訣」は何でしょうか。

今回は立候補に当たっては、地元コンベンションビューローからプレゼンテーションにおける地元の映像の提供などの支援をいただきました。他の国際学会では大使が国際学会理事に働きかけるなど、国を挙げての誘致を行っている国もありますが、日本ではなかなか進んでおりません。当学会は厚生労働省との結びつきが大きい学会ですが、厚生労働省などの他の省と外務省がもう少し連携して、誘致および開催に関する支援をするような仕組みがあると良いと思われました。

会議開催について

会議を実際に開催するにあたって工夫した点をご教示下さい。

当学会のテーマは、多くの方々の関心はあるものの、企業として収益に結びつくテーマではありません。例えば、医学会における製薬会社のように、比較的強い結びつきのある企業が少なく、資金集めには強い不安がありました。当学会は法人法の改正を受けて、一般社団法人となり、現在は公益法人を目指しておりますが、国際大会開催までに公益法人になるのは困難で、寄付を頂く際の税制上のメリットはありませんでした。ですので、JNTOの制度はありがたかったです。

その他困難だったこととしては、何と言っても語学の問題があります。英語が少し話せることと交渉ができることとは異なります。誤解を生まないように英語ができる人同士でも通訳者を入れたり、日本語を専門家に訳してもらい、それをメールでやりとりするなど、コミュニケーションの取り方に工夫しました。

会議開催後の感想

会議開催において心に残ったことがありましたらご教示下さい

国際学会開催は多大なエネルギーを要します。また、会議開催に関しては、失敗もありパーフェクトではありませんでした。しかし、これまでのISPCANという国際学会は概ね800人程度の参加者であったのに比べて、格段に多い国内参加者を得て、本学会を開催することができ、プログラムも非常に充実したものになり、内外の多くの参加者にお褒めの言葉を頂きました。また、日本での子どもの虐待に対する意識を高めることができ、開催には多くの意義があったと考えています。更に、プレカンファレンスでは新興国プログラムで他の国の暴力の状況を知るなど、国内参加者の視野が広がったことも大きな成果で、またユースフォーラムという子ども中心のフォーラムやNPOフォーラムなども開催できました。子どもを虐待から守るためにはネットワークが必要ですが、そのネットワークが国際的になったと言えます。オープニングセレモニーに秋篠宮妃殿下と佳子内親王のご臨席を賜るという栄誉を得たことも、内外の参加者に印象を強く与えたと思います。

ただ、何と言っても開催までは資金面で非常に強い不安がありました。開催までの資金の無利子貸付、資金獲得へのアドバイス、ボランティアの手配支援などがあると良いと思われます。また、本学会のように学者だけではなく、保健師や福祉士など現場で働いている人間が多く、英語でのコミュニケーションは難しく、通訳が欠かせません。通訳への補助があると日本の国際化に役に立つと考えられます。加えて、国際会議場では会場内Wifiが無料で使用できることが必要と思われます。