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2021年11月10日 MICE市場トピックス9月号を公開します

ベトナム市場とインド市場について、レポートします。

① MICE関連の旅行会社や関係団体の動向
② MICE関連の訪日意欲の有無・変化
③ イベント開催の有無とその感染症対策
④ その他の特記すべきトピックス、ニュース (特筆する情報がない場合は、当該番号に「なし」と記載しています。)

本情報の転送や媒体掲載はご遠慮ください。

【米国市場】
JNTOニューヨーク事務所とロサンゼルス事務所が参加した3件のMICE商談会についてレポートします。

(1) SMU International 2021(開催地:ニューヨーク、開催日:8月26日~8月28日)
会場内の様子(マスク着用義務なし) ウェルカムレセプションの様子(マスク着用義務なし)

MICE専門メディアのNorthstar Meetings Groupが主催するSMU International 2021がニューヨークでリアル開催され、セミナーや商談会、レセプションが行われた。MICEプランナー約50名とサプライヤーが参加したが、例年と比較すると小規模であった。参加にあたっては事前のワクチン証明書のアップロードが必須であり、参加者全員がワクチン接種を終えていることが前提となっているため、会場における感染対策は手指消毒液の設置程度であった。マスク着用は必須ではなく、商談中やイベント中のマスク着用者は半数程度であった。特にウェルカムレセプションは屋外のルーフトップで行われたこともあり、マスク着用者は給仕するスタッフを除いて一名もおらず、昼食等も全て通常のビュッフェスタイルとなった。サプライヤーによって食事中に放映された誘致用のPR動画にはコロナ対策に対する内容は含まれておらず、マスク着用などの映像も全く見られなかった。コロンビアによるプレゼンはサステイナブルに注力した内容をメインに行われ、MICEプランナーにとってのSDGs等に対する意識の高さが感じられた。
セミナーでは、デジタルワクチンパスポートがこれからのイベント開催の鍵とはなるが、国によって規格等が異なるため、イベント開催時にそのやり取りだけでかなりの時間がかかってしまうことが懸念事項であるということが話された。企業ミーティングについては、企業によって厳格な感染対策が行われている地域を選択したい場合と、逆に感染対策が不要で自由に過ごせる地域を求める場合もあり、ケースによって臨機応変な対応が求められるのではないか、とのことであった。
ニューヨーク事務所が商談を行った参加者の中には、2022年以降に予定された日本におけるミーティングやカンファレンス等を持つプランナーも多く、国境がいつ開くか、MICE関連イベントがいつから開催出来るようになるのかといった点に高い関心が寄せられた。日本におけるMICE開催案件を持たないプランナーも、日本への好感度や興味関心が非常に高く、ファムトリップやサポートなどについて詳しく情報が欲しいといった声も聞かれた。

会場内の様子(マスク着用義務なし)
会場内の様子(マスク着用義務なし)
ウェルカムレセプションの様子(マスク着用義務なし)
ウェルカムレセプションの様子(マスク着用義務なし)

(2) Smart Meetings West National 2021(開催地:サンディエゴ、開催日:8月8日~8月10日)
商談の様子(マスク着用義務あり) 屋外でのディナー会場(マスク着用義務なし)

カリフォルニア州サンディエゴでSmart Meetings West National 2021がリアル開催され、バイヤーとサプライヤー間の商談会、スポンサー付きのネットワーキングイベント、教育セッション、チームビルディングの演習が実施された。バイヤー約70社とサプライヤー約60社が参加し、参加者数は昨年のコロラド開催時より2倍に増えたが、屋内でのソーシャルディスタンス確保という規制を遵守するために、パンデミック以前と比較すると規模は小さかった。
イベント主催者は、マーカーを使って椅子とテーブルを離して配置し、ソーシャルディスタンス確保を徹底していた。出席者は屋内においては、飲食をしていないときは一貫してマスクを着用することに誓約するように求められ、会期中ずっと、スタッフが適切なマスク着用を呼び掛けていた。一方で、屋外においては、マスク着用は奨励であり義務付けられていないため、すべての食事とネットワーキング活動は屋外で行われた。テーブルに手指消毒剤が用意されており、イベント全体で厳格な感染対策が行われていた。
バイヤーとの商談からは、多くのプランナーはすでに対面の会議に戻っており、ハイブリッド会議は継続する可能性が高いものの、対面とオンラインの両方の参加方法を提供することは非常にコストがかかり、プランナーはそこから先に進みたいという話が聞かれた。今年実施された対面イベントの大部分は、米国国内での小規模イベントであったが、ワクチンの義務化が参加を阻害する可能性があるという意見が聞かれた。
海外でのイベントについては、多くのプランナーは2023年以降の計画を立てているが、デルタ株とワクチンの有効性が不明確な状況のため、クライアントによっては海外でのイベントの計画は延期するところもある。訪日のインセンティブ旅行を検討しているプランナーもおり、日本への渡航がいつ可能になるかについての情報を求められた。

商談の様子(マスク着用義務あり)
商談の様子(マスク着用義務あり)
屋外でのディナー会場(マスク着用義務なし)
屋外でのディナー会場(マスク着用義務なし)

(3) IBTM Americas 2021(開催地:メキシコシティ、開催日:8月18日~8月19日)
JNTOブース 商談の様子(マスク着用義務あり)

北米・中南米のMICE業界をターゲットにしたIBTM Americas 2021がメキシコ合衆国メキシコシティでリアル開催され、トレードショー形式でバイヤーとサプライヤー間の商談が実施された。サプライヤーは主に中南米のコンベンションビューローであったが、アジアからはJNTOと韓国観光公社が参加していた。主催者発表によると、参加バイヤーは34%がメキシコ、31%がその他ラテンアメリカ諸国、18%がアメリカ南部、16%がアメリカ北部、残り1%がヨーロッパからの参加で、そのうち60%が代理店、30%が企業、残り10%が学協会・団体からの参加者だった。メキシコを主とした中米と南米からのスペイン語話者が多かったため、スペイン語での商談が不可欠であり、JNTOは今回、ロサンゼルス事務所とメキシコシティ事務所設置準備室から本イベントに参加した。
参加者はワクチン証明の提示は不要だが、会場に入る前に検温をする必要があった。フロア全体に手指消毒液が置かれ、多くのブースでは、安全な距離を確保するために、会議テーブルとカウンターに明確な仕切りが設置されていた。指定されたエリアでの飲食時を除き、イベントスペース全体でマスク着用が義務付けられ、安全ガイドラインと規則を示す標識が掲示されていた。また、外国からの参加者が自国に戻る際にPCR検査が必要な場合に利用できる、PCR検査ラボも設置されていた。
約6割のプランナーの顧客がアジアに関心を持っており、約5割は今後の訪日インセンティブ旅行に関心があった。プランナーが最も気にしている質問は、日本への渡航がいつ可能になるかという点である。複数のプランナーは2023年以降の訪日を検討・決定している顧客がいるが、そのタイムラインが現実的かどうか、訪日にあたっての制限措置(検疫措置、ワクチンパスポート等)の有無について懸念している状況であった。

JNTOブース
JNTOブース
商談の様子(マスク着用義務あり)
商談の様子(マスク着用義務あり)

【ベトナム市場】

① 9月後半頃から新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたことに伴い、各地域で段階的な規制緩和の動きが出ている。文化スポーツ観光省は9月7日に、2021年末~2022年頭における観光需要喚起・旅行回復の計画を発表し、これによると国内観光客と海外からの観光客を対象にワクチン接種証明書の導入を予定しており、フーコックへの観光客を試験的に受け入れ、それからハロン湾、ホイアン、ニャチャン、ダーラットなどで観光客の受け入れを予定しているとのこと。旅行会社には割引価格での旅行商品の販売を支援する。OTAのAgodaが実施した調査によると、ベトナム人回答者の50%超は年内の旅行実施を希望しており、時期は移動制限が解除されてからすぐ、あるいは1ヶ月内に旅行したいと答えた回答率が東南アジアの他国より高かった一方で、サプライヤーには安心安全のためのマニュアルを整備し、支払い・払い戻しにフレキシブルに対応してもらいたい、との要望も聞こえた。
② 多くの旅行会社で通常の活動はほとんど行われていないが、JNTOハノイ事務所が一部旅行会社に対してヒアリングを行ったところ、食品関係の会社から来年はインセンティブ旅行に行きたいというような話がいくつか出ている、海外旅行の再開時期は2022年の秋頃が目安と考えている、という声もあった。訪日旅行については、航空便やバスなど車両の仕入れ価格がコロナウイルスの感染拡大前と比べて高騰することを心配する声も上がっている。
③ なし
④ 〈競合国の動向〉
・台湾観光局と阿里山国家風景区観光事務所の共催により、台湾名所の阿里山を紹介するYouTubeライブが9月14日に開催された。
・タイ国政府観光庁はオンラインイベント「画面を通じてタイと会いましょう!」を9月25日に実施。イベントには700名以上が参加し、著名なブロガー・ティックトッカーとの交流や、人気のボーイズラブ映画の紹介、ギブアウェイを提供するミニゲームなどが行われた。

【インド市場】

① デリーでは一部を除き規制はほぼ緩和され、商業施設やレストランの営業時間は制限がなくなっているほか、メトロやバスなどの交通機関は満席での運航が可能となっている。政府や企業のオフィスは普段の50%の社員数での勤務に制限されている。インド政府観光省は、2022年までにインド国内の15カ所以上を訪問し、写真を撮影してウェブサイトに掲載した旅行者に特典を提供することを決定した。
② JNTOデリー事務所が一部の旅行会社にヒアリングを行ったところによると、MICEは小規模団体から再開となる、復活は一般観光より後になると予測している旅行会社がいる一方で、2022年の数百名規模の訪日インセンティブ案件について問い合わせを受けている旅行会社もあるとのこと。ある旅行会社からは、日本のホテルにおいて朝食にインド料理が用意されると良い、ガラディナーを深夜まで行いたい等の要望もあった。
③ なし
④ 〈競合国の動向〉
・スリランカ航空は、インドのレジャー旅行者を対象に、10月31日までの期間限定でコロンボの往復航空券を購入すると1回分が無料になるキャンペーンを導入した。

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<JNTO担当部署> MICEプロモーション部
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