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2022年03月04日 MICE市場トピックス1月号を公開します

タイ市場、マレーシア市場、米国市場(ニューヨーク事務所)、及びフランス市場についてレポートします。

① MICE関連の旅行会社や関係団体の動向
② MICE関連の訪日意欲の有無・変化
③ イベント開催の有無とその感染症対策
④ その他の特記すべきトピックス、ニュース (特筆する情報がない場合は、当該番号に「なし」と記載しています。)

本情報の転送や媒体掲載はご遠慮ください。

【米国市場(ロサンゼルス事務所)】
JNTOロサンゼルス事務所が参加したMICE関連イベントについてレポートします。

MPI Southern California Chapter - State of the Industry(開催地:ロサンゼルス、開催日:1月13日)
新型コロナウイルスの検査および待機会場  ネットワーキングの会場

会議運営会社・MPIの南カリフォルニア支部は、2年ぶりにイベント「State of the Industry」をラスベガスで開催した。イベントではMICE業界における新型コロナウイルスの影響についての最新情報や、業界の将来についての考察、業界の回復時期の予測についてのプレゼンテーションが行われたほか、ネットワーキングのレセプションやカクテルアワーも設けられた。参加者数は、新型コロナウイルスの流行前に行われた前回よりもかなり少なかった。
社会的距離を確保するためにイベントは屋外で開催され、参加には新型コロナウイルス検査の陰性証明が必要であった。会場に検査会場が設けられ、受検者はQRコードを読み取ってポータルサイトにアクセスし、そこに情報を登録するシステムになっていた。このようにワクチンの接種証明の提出を義務付けるのではなく、イベントの主催者が検査機関と契約して会場で検査を行うことの重要性はプレゼンテーションでも強調された。こうして無症状の感染者の参加も防ぐことが、イベントにおける新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ唯一の確実な方法であるとのことだ。また、プレゼンテーションでは、ウイルスは宿主の不足でウイルス自体も根絶してしまうことを防ぐために、徐々に宿主を保護しようと弱体化するので、このオミクロン株の流行が新型コロナウイルスの流行の波としては最後の大きな波になり、MICE業界にとっては回復の時期を迎えるのではないかとの予測が発表された。 イベントの参加者同士は意識して社会的距離を保っており、また名刺の交換を控える人が多かったので、今後名刺交換の慣習は徐々になくなっていく可能性がある。

新型コロナウイルスの検査および待機会場
新型コロナウイルスの検査および待機会場
ネットワーキングの会場
ネットワーキングの会場

【タイ市場】

① 2021年12月末ごろまでは富裕層を中心に、入国可能なスイスやフランスなどの行先へ少人数グループの旅行予約が入っていたが、新型コロナウイルスの再流行によりキャンセルが生じている。現地旅行会社によると、顧客が現在旅行に求めていることは特別な要求ではなく、街並みや自然景観、買い物、地元の食事などを楽しむこと。新型コロナウイルスの流行前は中所得層以下をターゲットとしていたが、今後は富裕層をターゲットにするという旅行会社もある。

② いつ日本に行けるかという問い合わせは引き続き多く、2022年の秋ごろの日本行きインセンティブ旅行のプランニングを要求する企業もある。現地旅行会社では渡航制限解除後すぐに動き出せるよう、常に日本の新しい情報を顧客に提供している。富裕層の顧客は、他者に先駆けてできる特別感のあるコンテンツを求めているので、日本の地方都市を新しい行先として提案できるが、写真映えする景色や興味深いストーリー・アクティビティ等が必要である。富裕層の顧客を満足させるには、①良質な温泉の付いた5つ星クラスのホテル、②洗練された食事、③質の良いサービス、④旅程に余裕があり各スポットを満喫できることの4点が重要。また、ツアーの最後の夜には大きな都市での買い物の時間を設けるのが良い。ある現地旅行会社によると、中国は多様性もあり富裕層向けのコンテンツもあるので、今後もっと受け入れ環境が整えば日本の強力な競合相手になるだろう、とのこと。

③ 消費者向けの日本文化紹介イベントである「Japan Expo Thailand 2022」が1月21日(金)から1月23日(日)まで、バンコクのセントラルワールドでリアル開催された。会場では抗原検査の実施や検温などの対策が取られた。

④ 特になし

【マレーシア市場】

① 新型コロナウイルスワクチンの追加接種が進められており、海外との往来も徐々に再開している。シンガポールと互いに隔離なしでの入国を認めるワクチン・トラベル・レーンは、2021年12月からチケットの新規予約が停止されていたが、1月21日から再開された。また、タイ政府とのトラベル・バブルについての協議も始まると報道されている。
2022年の夏から冬に開催する海外インセンティブ旅行を検討する企業も出始めているが、状況が流動的であることから、まずは行先を確定してから詳細を検討する傾向にある。現地旅行会社によると、帰国後の隔離措置期間に在宅勤務が可能なIT関連企業からの問い合わせが増えているとのこと。

② 日本行きのインセンティブツアーの需要は依然高く、2022年夏以降で実施を検討している企業が複数ある。方面としてはゴールデンルートや北海道が引き続き人気だが、東北・四国・九州などを提案したいと情報収集している現地旅行会社もある。渡航制限の状況によって催行時期が変更になるため、出発時期にとらわれず情報を集めている。

③ マレーシア全土において政府が定める出口戦略「国家回復計画」の最終フェーズとなっており、各会場は元の収容人数通りにイベントを開催可能となったため、オフラインでのイベント開催が増えつつある。ワクチンの接種完了者に加え、未接種でもイベントの参加前に検査で陰性を証明することで参加が可能となる。

④ 特になし

【米国市場(ニューヨーク事務所)】

① ワクチン接種の推進等によって国際会議業界は徐々に回復している。多くの学協会や、ミーティング・インセンティブ旅行を主催する企業が、特に延期やキャンセルといった事項において柔軟な開催地を探すようになっている。
北米の業界雑誌「Meetings Today」の最新アンケートによると、調査対象であるミーティングプランナーの約40%が2022年の第1四半期にリアル開催に戻ることを期待していると回答し、また30%はすでにリアル開催をしていると回答した。開催にあたり取るべき感染症対策についての質問には、マスクの着用とワクチン接種証明の要求のほか、しばしば無症状とされる新型コロナウイルスのオミクロン株への感染に対応するため、検査の陰性証明が必要と答えた割合が最も多かった

② JNTOニューヨーク事務所による現地旅行会社やミーティングプランナーへのヒアリングによると、渡航制限により訪日旅行が困難となっていることで、日本への興味関心が高まっていると思われる。北米の顧客は提案を先着順で受けることが多いが、日本のサプライヤーからの回答は時間がかかると思われている傾向があるため、問い合わせにはすぐに対応することが重要である。現地旅行会社やミーティングプランナーの中には、日本の渡航制限やその解除時期の見通しについての情報が不足していることに懸念を表明する声も上がっている。

③ ミーティングプランナー・学協会の業界団体であるPCMA主催の「PCMA Convening Leaders」が、1月9日(日)から1月12日(水)にラスベガスでハイブリッドイベントとして開催された。リアル会場ではマスク着用が義務付けられ、また参加前にワクチンの接種証明を提出することが要件とされていたが、後日、リアル参加した参加者のうち3名が新型コロナウイルスに感染したと主催者より全参加者に報告があり、さらに感染者が増えた場合は再度報告するとのことだった。この透明性はイベントの主催者と参加者の間に信頼を醸成するので、非常に重要だと思われる。また同イベントではARHTMedia社の「ホロプレゼンス」という最新技術が紹介された。これはキーノートスピーカーがホログラムとして参加できるようにする技術で、イベントに物理的に参加できない講演者も参加可能となる非常に新しい方法である。

④〈競合国の動向〉
上述のPCMA Convening Leadersの期間中、プエルトリコによる記者会見が行われ、ハイブリッド会議への対応が可能な最新設備を備えた会議施設や、大規模イベントのライブ中継を行った実例、色彩理論を採用してプエルトリコを彩った最新のプロモーションビデオなどが紹介された。

【フランス市場】

① American Express Meetings & Eventsが実施した2022年の会議・イベントの動向予測では、ヨーロッパの会議専門家の見通しは慎重ながら楽観的なものだった。回答者の6割近くが、楽観視のレベルを10段階のうち8以上にランク付けすると回答し、半数近くのイベントがリアル開催されるだろうと予測している。参加者数についても開催形態にかかわらず2021年より増加することが予測されており、リアル開催における参加者数も5年以内には新型コロナウイルスの流行前のレベルに戻ると思う、とした回答者は86%に上った。

② JNTOパリ事務所では1月25日にベルギーおよびスイスのMICE関係者に向けたウェビナーを実施し、ベルギーから12名、スイスから9名の参加があった。一部案内したが参加を断られたケースもあり、その理由としては顧客が欧州以外の行先に関心がないという方や、オンラインイベントにもう興味がないという理由で断られたケースもあった。参加者からは渡航制限についての質問のほか、旅館のキャパシティやホテルの等級といった宿泊施設に関する質問などが寄せられ、事後アンケートにおいては参加者の7割が「状況が落ち着いたら日本でイベントを開催する」と回答した。
2023年以降で日本行きのインセンティブ旅行を計画する企業も出てきているが、フランスの現地旅行メディアでは日本の渡航制限政策は世界中で最も厳しい政策の一つだと報道されている

③ フランスでは1月までに予定されていた多くの見本市が延期となり、特に12月の延期は130件にも上ったが、1月から2月にかけてイベントの開催制限は徐々に緩和され、2月16日からは屋内外問わず会場の収容人数制限が撤廃されている。イベントの参加者は、①3回目接種まで完了したことを示すワクチン接種証明、②過去6か月以内に新型コロナウイルスから回復したことの証明、③ワクチンが禁忌であることの証明、のいずれかを提示することが定められており、またイベント中は引き続きマスクの着用が義務となっている。 ベルギーでは1月28日より、屋内の場合は50名以上、屋外の場合は100名以上のイベントに対し、政府が定めるワクチン接種証明である「Covid Safe Ticket」の提示が義務化された。また規定収容人数が200名を超える施設の場合、収容人数は70%に制限される。

④ 特になし

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