お知らせ

2024年10月28日 MICE市場トピックス(9-10月)

海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。

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【メキシコ市場】

 JNTOメキシコ事務所は8月21日(水)~22日(木)に、メキシコシティで行われたIBTM Americas 2024にJNTOとして単独でブース出展した。同イベントは中南米最大規模のMICE商談会であり、メキシコを中心に北米南米のバイヤーが多く参加している。今年は、延べ3,200名以上が来場、450のセラーと、550以上のバイヤ―が参加し(主催者からの速報値)、総来場者数及びバイヤー数ともに2023年度より大きく増加した。会場はメキシコ国内及び周辺観光局のブースが大半を占める中、アジア圏からは、日本のほかフィリピンが共同出展者とともに出展していた。JNTOメキシコ事務所は3年目の参加となり、30件以上の商談を行った。

商談の内訳としては、メキシコ国内が約46%、米国が26%、その他はブラジル、アルゼンチン等中南米の国々であった。メキシコ発の多種多様な業界からのインセンティブ旅行が、自動車、保険会社、製薬会社、製造業など業界を問わず、人数も数十名から200名規模まで数多く実施されている実態が把握できた。人気の訪問先としては、期間が短いものだと北米、長い場合はカリブ海、欧州があり、比較的距離があるアジアはその次の旅行先となるためか、全体として日本に限らずアジア諸国への手配実績は多くなかった。そのなかで日本への送客実績がある場合の訪問先は、東京、大阪、京都などが中心で、中には、九州、福山のほか、自動車関係の場合は愛知があがる場合もあった。

バイヤーからは、日本について非常に多くの問い合わせがあるため情報を求めており、旅行手配を行う会社、アクティビティ等について問い合わせがあった。JNTO以外の日本からのセラーはホテル、DMC等数社程度だったが、どのブースも盛況で、確実に案件を持った、DMCや旅行会社とのつながりを欲しているバイヤーが多いという声も聞かれた。中南米からのインセンティブ旅行誘致のためには効果的な出展機会であると考える。

中南米から日本へのインセンティブ旅行は、旅行期間が限られた中で距離がネックとなる場合が多いが、メキシコー東京間は直行便が2社運航しているため、メキシコ発で行程の提案が可能である。引き続きインセンティブ旅行需要の掘り起こしにつなげられるよう、プロモーションと市場開拓を徹底していく。

JNTOブースの様子
JNTOブースの様子
JNTOブースの様子
JNTOブースの様子

【タイ市場】

 JNTOバンコク事務所は、2025大阪・関西万博を契機とした訪日インセンティブ旅行の誘致と地方誘客を図る取組として、9月2日(月)~7日(土)の日程で大阪、徳島、兵庫、京都へインセンティブ旅行取扱旅行会社6社の招請を行った。
本事業は「テクニカルビジット(産業視察・工業視察)」をメインテーマとした。昨年当所が実施した「在タイ企業向けの海外インセンティブ旅行調査」では、主催企業は、レジャー目的と同様の「自然」「食」「買物」などのコンテンツのみならず、「従業員の学習」、「社員のモチベーションアップ」、「企業の新しいパートナー発掘の機会」に繋がるテクニカルビジット等を含む付加価値のあるプログラム提案を求めていることが分かった。一方、主催企業が求める特別な行程の作成にあたっては、テクニカルビジットの訪問先に関する旅行会社の情報不足、日本側とのコネクション不足、手配(コミュニケーション)の難しさといった課題が浮き彫りになった。そこで、今回の招請では、旅行会社や在タイ企業がインセンティブ旅行先として日本を選ぶ動機となる、テクニカルビジット訪問を含む提案・手配力の向上を狙った事業を実施した。
 
訪問先はタイ側企業が関心の高い産業分野を絞り込み、海外からのインセンティブ受入が可能な施設を視察した。具体的には、エネルギー関連分野の関西最大のバイオ燃料発電所の「DINS KANSAI」、農業関連分野では日本の最先端スマート農業を学ぶ「大阪公立大学 植物工場研究センター」や、ロボット分野の視察先に加えて、大阪・関西万博会場を見学した。また、インセンティブ旅行向けの宿泊施設として、SDGsや健康に配慮したコンセプトを打ち出したホテル「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」や、今年開業したばかりの「大阪ステーションホテル」と開発が進む大阪駅周辺施設も視察した。参加した旅行会社からは「テクニカルビジットを含む商品造成することで、顧客の訪日意欲は高まるため、インセンティブグループへ自信を持って提案するために、今後も視察先情報を提供いただきたい。」「視察系のインセンティブツアーはツアーの価値向上に適しており、入札で他社との優位性を持つことができる。」との感想もあり、訪日成熟市場であるタイ発インセンティブ旅行のコンテンツとしてのテクニカルビジットの意義を改めて感じた。

 また、テクニカルビジットの提案・手配は、レジャー観光の場合よりも旅行会社に求められる知識やスキルが高くなる。旅行会社の担当者が提案内容の詳細情報・知識を持つことが鍵となるため、本事業では事前のワークショップ開催に加え、視察先の手配に必要な情報を掲載した冊子を作成し事前に配布した。参加者からは、「事前に情報収集できたことで、招請前に顧客と事前に打合せをした上で、現地で確認すべきポイントを絞って視察を行えた。」「事前ワークショップを通じて、招請事業の参加者全員が共通の目的意識を持ち、視察中にはお互いのアイディアを共有し合う機会にもなった。」との感想があり、事業実施前の参加者への十分なインプットが招請視察事業の効果を高めることが確認できた。
 
 テクニカルビジットの手配は、受入先も企業・工場等であるため、同じ文化と言語を使う日本人同士でも調整が難しいと感じることがある。まして海外の旅行会社からの問合せとなると一層ハードルは高くなるのが現状である。今回はその障害を少しでも下げることを目指し、上記の取組に加え、招請中にコンベンションビューロー等の日本側関係団体との意見交換会を実施することで視察先との関係構築を図った。しかしながら、当所では、本事業を通じて、テクニカルビジットの手配においては、日本語が話せないタイの旅行会社にとって、引き続きコミュニケーションに課題が残ると考える。今回訪問したテクニカルビジット先の担当者のコメントにも「日本のランドオペレーターを通じての連絡を推奨する」という意見も挙がり、日本国内のテクニカルビジット先等にタイ旅行会社が英語で直接連絡を取った場合、反応が得られない可能性があるためである。昨今では、テクニカルビジットの企画提案・関係者との調整等の窓口機能を設けている地方自治体もあるところ、当所としても引き続き、日タイ間関係者のコミュニケーションの円滑化を図りながら、テクニカルビジットを伴う訪日インセンティブツアーの促進に取り組んでいく。

阿波踊り会館での様子
阿波踊り会館での様子
テクニカルビジットの様子
テクニカルビジットの様子
意見交換会の様子
意見交換会の様子

【カナダ市場】

 JNTOトロント事務所は、8月13日(火)~14日(水)に、トロントにて開催されたMICE見本市であるCanadian Meetings + Events Expo(CMEE)に出展した。CMEEはカナダ最大のMICE見本市であり、2024年は前年比14%増となる2,969名のミーティング/イベント/インセンティブ旅行プランナーが来場し、JNTOブースでは計62件の商談を実施した。
日本での具体的なインセンティブ旅行・国際会議案件のある商談相手は少なかったものの、ブース来場者へのアンケートでは、85%が.海外でのMICEプログラム実施の可能性があると回答し、さらに51%が日本でのMICEプログラム実施に関心のあるクライアントを抱えていると回答した。
 一方、日本がインセンティブデスティネーションとして選ばれるための課題としては、距離や金額以外に「MICEプランナー自身が日本についてよく知らない」、「日本でのプログラムアレンジができるDMCについて情報を有していない」といった声が多数挙げられ、今後のリードにつなげるためには、情報発信や現地視察の機会の提供が重要となる。

今回商談を実施したMICEプランナーに対しては、日本側のDMC等に関する情報を提供するとともにJNTOトロント事務所が配信しているMICEニュースレターへの登録を促しており、JNTOでは日本でのMICEプログラム実施に関して今後継続的に情報発信を続けていく。

JNTOブースの様子
JNTOブースの様子
カナダ各州観光局が出展している様子
カナダ各州観光局が出展している様子

【ドイツ市場】

 JNTOフランクフルト事務所は、9月26日(木)にドイツ最大級のMICEプラットフォームである「MICE Board」において、訪日インセンティブツアーに関するウェビナー動画を公開した。この動画では、ドイツ市場のマーケティング戦略でも訴求ポイントの一つとして掲げている「食」をテーマとしており、インセンティブ旅行のデスティネーションの候補地の参考としてもらうことを目的に食にまつわる各スポットの紹介を行った。日本の地域の中でも特に「北陸・中部」地方にフォーカスし、地方部で体験できるコンテンツを取り上げている。動画内では冒頭でJNTOでの活動などの紹介ののち、インセンティブツアー計画の参考となる各スポットの紹介として福光屋(日本酒[石川県])、大王わさび農場(わさび[長野県])、小諸蒸留所(ウイスキー[長野県])、善光寺(精進料理・宿坊体験 [長野県])、能作(鋳物製作[富山県])の5箇所を取り上げた。お寿司やラーメンなどの典型的な日本食ではなく、異なった角度で日本にいるからこそ体験できるお酒や食材・食器等を題材にした情報発信を行った。他にもフランクフルト事務所MICE担当者の地方訪問時の実体験から、ドイツ人の興味関心が高い茶摘み体験(静岡県)や、淺野鍛冶屋(岐阜県)、芸妓体験(石川県)なども合わせて動画内では紹介している。

善光寺の精進料理のご紹介
善光寺の精進料理のご紹介
福光屋の日本酒の紹介
福光屋の日本酒の紹介
JNTOフランクフルト事務所MICE担当者による説明の様子
JNTOフランクフルト事務所MICE担当者による説明の様子

【米国市場】

 JNTOニューヨーク事務所は、北米を中心にあらゆる分野の学協会幹部の業界代表が加盟するASAE (American Society of Association Executives、国際会議主催者協会)が主催する年次総会ASAE Annual Meeting 2024に出展した。本総会は8月10日(土)~13日(火)まで米国オハイオ州クリーブランドで開催され、約5,100人が参加した。参加者の割合は、バイヤーが63%、セラーが37%であり、セラーの大多数は、アメリカ国内の都市や州を代表するアメリカの地方観光局で、海外からのセラーは日本(JNTO)のほか、香港、オランダ、デュッセルドルフのみと僅かであった。

 本総会は事前アポイント制ではなくウォークイン形式であり、日本ブースには日本でイベントを開催したことのある、あるいは将来日本での国際会議の開催を検討しているという6つの国際機関が訪れた。そのうちの1つの機関はすでに日本開催を決断しており、また他の多くの機関でも日本での開催経験があり、良い経験をしたのでそれを再現したいと考えている等、日本開催を前向きに検討していることが伺えた。こちらからは観光庁が選定したグローバルMICE都市(12都市)を含め、日本の各都市のアクセスや主要なMICE施設、国際会議のサポートプログラムの紹介、日本でMICEイベントを開催する上で有用なJNTOのウェブサイト等の情報を提供した。商談のほか、ネットワーキングイベントにおいても参加者と情報交換を行い、MICEデスティネーションとしての日本の魅力を伝えることができた。

 本商談およびネットワーキングイベント等を通じて、東京や大阪のような大都市には訪問したことがあり馴染みがあるというバイヤーが一定数いた一方、交通の便がよく、適切な施設がある代替都市にも興味を示されたため、福岡、神戸、広島、仙台、札幌などを紹介した。

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 JNTOロサンゼルス事務所は、8月18日(日)~20日(火)にラスベガスで開催されたSmart Meetings Culinary Experience 2024に出席した。本イベントは米国を拠点とする著名なMICEメディア会社であるSmartmeetings社が主催するイベントで、ネットワーキングやエデュケーショナルセッション、事前マッチング制の商談等が実施され、サプライヤー27社とバイヤー約32社が参加した。
 本イベントは、持続可能性、食品廃棄物の削減、食事制限やアレルギーへの対応に重点を置きながら、会議やインセンティブに料理体験を取り入れることに焦点を当てており、このテーマについて、出席したプランナーからは、食費の高騰や、アレルゲン表示の改善、参加者の安全性を懸念する意見があった。
 今回のイベントの参加者は、これまで西海岸で開催されてきたものより少なかったものの、丁寧な事前マッチングの結果、商談した22社のうち約77%にあたる17社が将来的な検討段階のものを含め、日本やアジアでの国際会議を計画しており、効果的な商談にできた。
 ネットワーキングや商談のなかで、「年間予算は若干減少したものの、今後さらなるイベントを計画中である。」といった声や、複数の参加者から、日本での共同イベントを検討中、2027年の日本での会議開催に関心があるなどの具体的な情報も得られた。

ASAE Annual Meeting 2024_基調講演・展示会場の様子
ASAE Annual Meeting 2024_基調講演・展示会場の様子
Smart Meetings Culinary Experience 2024_商談の様子
Smart Meetings Culinary Experience 2024_商談の様子
パンフレット内のJNTO紹介ページ
パンフレット内のJNTO紹介ページ

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