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2024年12月02日 MICE市場トピックス(11月)

海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。

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【全世界】

 JNTOは10月19日(土)から23日(水)までアラブ首長国連邦のアブダビで開催された、第63回ICCA(International Congress and Convention Association:国際会議協会)総会(The 63rd ICCA Congress 2024)に参加した。ICCA は、国際会議業界の国際的な交流と会員の地位向上を主な目的とする非営利・非政府の団体で、本総会には世界76か国から過去最高の1563名の参加があった。開会式にはUNTWO(The World Tourism Organization)より、Zurab Pololikashvili事務局長も参加し、ICCAとUNWTOの協力関係を強調した。
 総会では、中心となるテーマ “Tomorrow Starts Today” の下、Technology and Innovation、Sustainability and Environmental Impact、Cultural Awareness & Social Impacts、Business Trends & Growthの4つの業界の主要なトピックについて、会場内の分科会場等で合計93のセッションが行われ、活発な議論や発表がなされた。中でも持続可能性やAIの活用など業界のトレンドとなるような議題に多くの関心が寄せられ、業界の最新情報の交換が参加者間で闊達に行われた。ICCAが最も優れた国際会議のプロモーション活動を行った団体に贈る、The ICCA Best Marketing Award 2024では審査員と参加者による投票の結果、皮肉を交えたユーモアでオスロの魅力をPRするキャンペーンを展開したノルウェーのビジット・オスロの ”Is it Even a City?” が授賞した。
 2025年の開催地はポルトガルのポルトの予定。
・The ICCA Best Marketing Award 2024
https://www.iccaworld.org/news/post/visitoslo-wins-best-marketing-award-2024/

開会式の様子
開会式の様子

【シンガポール市場】

 JNTOシンガポール事務所では、9月26日(木)~28日(土)にかけて東京ビッグサイトにて開催された「VISIT JAPAN トラベル&MICE マート 2024(VJTM & VJMM)」 に二人のシンガポールバイヤーを招請した。
 VJTM及びVJMMは毎年JNTOが主催している日本最大のインバウンド商談会で、全国の観光関係者が一堂に会し、世界中から招待されたバイヤーとネットワークを構築できるイベントである。うちMICE商談会であるVJMM では、事前マッチングによる商談会が東京にて実施され、その後アジア太平洋地域(APAC)の各地から招請された計15名のMICEバイヤーらは関西と北陸の各コースに分かれ10月1日(火)まで招請旅行に参加した。
 シンガポールのバイヤー2人が参加した北陸コースは、金沢と軽井沢のホテルやMICE施設、チームビルディングにふさわしいアクティビティなどで構成された3泊4日の招請旅行で、他の東南アジアからのVJMMバイヤーも含め計10名で実施した。金沢ではホテルやユニークベニュー視察や伝統的な金箔貼り体験などを行い、軽井沢でもホテル視察やアロマクラフト体験のほかチームビルディングのコンテンツとしてカーリング体験を行った。各種アクティビティはいずれも好評で、多くのバイヤーからクライアントにすすめたいとの感想が聞かれた。
 また、バイヤーはホテルや会場の視察も非常に熱心で、多くのバイヤーは施設のリノベーション時期を気にしており、古くても最近リノベーションされているなど、継続してメンテナンスされている会場が好まれる傾向にあった。特に興味を持った施設に対しては、収容人数や値段、提供サービスの詳細など具体的な質問が多く聞かれ、関心の高さをうかがわせた。
 今回の招請参加者の多くは金沢と軽井沢の訪問が初めてで、視察を通して各地域の魅力やアクセスのしやすさを発見できたと思われる。実施後のアンケートでは、9割の参加者が具体的に金沢や軽井沢をクライアントに提案したいと回答しており、地域を直接インセンティブ旅行会社へ紹介することの意義が再確認できたといえる。

金沢での金箔貼り体験
金沢での金箔貼り体験
軽井沢でのカーリング体験
軽井沢でのカーリング体験

【イタリア市場】

 10月2日(水)、イタリア北部最大の都市であるミラノにおいてMICE商談会であるBUYMICEがHotel Grand Visconti Palaceにて開催された。同イベントは、イタリアにおいてMICEに特化した数少ない商談会で、旅行会社の他、企業やインセンティブハウスなどからバイヤーとして多数参加している。今般の商談会では、イタリア国内のホテルやCVBの他、欧州の政府観光局が60社セラーとして参加、バイヤーは、200名ほどが参加した。
 JNTOローマ事務所は、MICEデスティネーションとしての日本の認知を広め、訪日情報やMICE実施支援などの情報提供を行うと共にネットワーキングの構築に努めることを目的として同商談会に参加し、18件の商談を行った。商談は会場内に設置されたセラーデスクにバイヤーがウォークインで立ち寄り商談を行う自由なスタイルで行われた。JNTOデスクには、常にバイヤーが商談を待っている状況で、旅行会社やインセンティブハウスのバイヤーが代わる代わる訪問していた。
 全体としては、日本にインセンティブ旅行を送る予定、もしくは過去に送ったというバイヤーも商談件数の33%を占めるなど予想以上におり、日本はMICEのデスティネーションとしてある程度認識されているといえる。複数のバイヤーがゴールデンルートを中心としてすでにインセンティブ旅行を送っているため、将来的にはさらに訪問都市を広げたいと考えている人も多い。また大阪・関西万博を意識し、万博に関する情報並びに関西地方の情報提供を求める動きも見られた。インセンティブ旅行の実施企業の業界は、製薬、通信、保険、銀行関係が多かった。なお、日本は欧米諸国と比較すると特別なデスティネーションと認識される傾向にあり、エクスクルーシブ感を感じられる茶道や料理など文化的体験や欧米ではできないような「日本らしい」体験を紹介してほしいといった声が挙がっていた。
 今般、ミラノでのBUYMICEへの初出展を通じて、当初の予想以上に日本に対する認知度は高く、関心も集まっていると感じられたが、これからの課題として、一般情報を含めた全体的な知識の底上げは必要である。さらに、MICEに関しては一般情報に加え、体験やユニークベニュー等の情報提供も進めていきつつ、現地のMICE関係者との継続的なネットワーキングを強化していく必要がある。

BUYMICE会場外観
BUYMICE会場外観
商談の様子
商談の様子

【中国市場】

 JNTO北京事務所は9月20日(金)に中国旅行会社向けに「インセンティブ旅行オンラインセミナー」を行った。セミナーは中国市場のインセンティブ旅行を扱っている旅行会社に向けて、JNTO及び自治体(長崎県上海事務所)、コンベンションビューロー(群馬県観光物産国際協会)、観光関連企業(HMJオペレーションズ、東武鉄道株式会社、バリューマネジメント株式会社)から訪日インセンティブ旅行にかかわる最新情報を発信した。当日は旅行会社担当者102名(以下中国側参加者)が参加した。
 中国側参加者へのアンケートでは回答者58名のうち54名がセミナー全体について「満足」と評価しており、大変満足度の高いセミナーとなった。セミナーの時間配分については、JNTOを除く日本側参加団体は5団体で、1団体25分(プレゼンテーション時間20分、質疑応答5分)の形式を取っていた。休憩等を挟むと3時間にも及ぶオンラインセミナーだったが、9割以上の方が「セミナーの長さが適切だった」と回答しており、全体の長さよりも1団体あたりのプレゼンテーション時間を長すぎないようした方が参加者は集中できることがわかった。中国側参加者から好評だったプレゼンテーション内容としては、あまり知られていない観光地やその地域特有の観光コンテンツ紹介、ホテルなどの宿泊施設情報、そしてユニークベニューを含むMICE施設情報など、実用的な詳細情報が人気だった。今後の要望については、「このようなオンラインセミナーをもっとたくさん開催してほしい」、「モデルルートを紹介して欲しい」、「まだ知られていない特色のあるインセンティブ旅行コンテンツを紹介してほしい」などの声が多く、中国の旅行会社が訪日インセンティブ旅行の情報を求めていることが伺える。具体的な案件につながるよう、プレゼンターのwechat連絡先も投影したところ、セミナー終了後に実際に旅行会社から問い合わせが来ている、との声が参加した団体からも届いている。
 このように中国においてオンラインセミナーは大変需要が高く、少ないコストと労力で一度に多くの旅行会社に直接情報を発信できる有効な方法であり、各自治体やコンベンションビューロー、観光関連企業の皆様でも実施のハードルが低い情報発信形式である。もし実施をご希望の場合には、当所から実施方法へのアドバイスなどの協力が可能なため、ぜひご相談いただきたい。当所としては中国からの訪日インセンティブ旅行を促進できるよう、引き続き関係者との連携強化と継続的な情報発信に注力していく。

JNTOからのプレゼンテーションの様子
JNTOからのプレゼンテーションの様子

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