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2025年07月25日 MICE市場トピックス

海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。

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【米国市場】

 JNTOロサンゼルス事務所は、6月8日(日)~10日(火)にプエルトリコで開催された「Incentive LIVE 2025」に参加した。本イベントは米国を拠点とする著名なメディア会社であるNorthstar社が主催するもので、ネットワーキング、各種講演、事前マッチング制の商談などが行われ、米国の主要インセンティブ会社や旅行代理店に所属する有力プランナー等、84名のバイヤーが参加した。商談セッションでは、2日間にわたり合計24件の商談を実施した。

 商談やネットワーキングの場では日本への強い関心が示され、東京・京都に加え、沖縄、金沢、富士山への注目も高かった。特に、ラグジュアリーホテル、ユニークな会場、本格的な文化体験に対する質問や要望が多く寄せられた。グループの特徴として、サイズは50~250人程度かつ1人あたりの予算は2,500~5,500ドル、場合によってはそれ以上というケースが多かった。基調講演では、市場全体の動向として、インセンティブ旅行参加者の多くがX世代(1965年~1980年頃生まれ)である一方、ミレニアル世代の割合も増加傾向にあり、アメリカ国外への国際旅行への関心が高まっていることが示された。

 さらに、プランナーからは「クライアントが従来のメキシコ、カリブ海や欧州といった定番旅行先以外の行き先を求めている中で、日本は、ホスピタリティ、安全性、文化体験の豊富さにより、候補地として有望視されている」との声が聞かれた。一方で、大阪・関西万博が開催されている中、信頼性が高く実績のあるDMCなどの確保が難しいとの課題も指摘された。

 また、経済的・地政学的な不安定性の影響により、多くのプランナーが予算の横ばいや人材不足といった課題に直面していることも伺えた。インセンティブ旅行需要の増加に伴い、新規旅行先に関する情報へのニーズが高まっており、日本を選んでもらうためには、厳選したDMCリストや信頼できるコンタクト先の提供など、実効性のある支援を継続していくことが重要である。

商談会の様子
商談会の様子
キーノートセッションの様子
キーノートセッションの様子

【台湾市場】

 台湾では、旅行を切り口にした福利厚生策が多くの企業で採用されている。代表的な業種は保険と不動産で、毎年1,000人を超える規模のインセンティブ旅行が企画されており、企業によっては億単位の予算が年間計画の中に組まれている。
従来、行程の中で重視されてきたのは、参加者が一同に集まるガラディナーであったが、最近はそれに代わるもの、または合わせて実施されるものとして、独自のイベントを一から立ち上げたいという要望が増加している。特に日本では、旅行参加者の大半が訪日リピーターであることから、一般旅行との差別化を強く意識する企業担当者が多く、特別感や新鮮味の醸成は必須となりつつある。また1,000人規模の着席ガラディナーに対応できる会場が多くないことも、イベント需要を後押ししていると考えられる。

イベント例(海外実施例も含む)

 インセンティブ旅行を受注する台湾の旅行会社は、訪日旅行の手配に非常に長けており、すべての手配を自社で完結できるケースも少なくないが、旅行範疇を超えるイベント開催においては、手配を日本側に頼らざるを得えない状況であり、日本のイベント会社とのネットワーク構築を希望する声は高まっている。今後、台湾からのインセンティブ旅行の誘致には、イベントの企画や実際の手配・運営がワンストップで実現できる体制作り、対応力が重要になる。

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