お知らせ
2025年11月04日 MICE市場トピックス
海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。
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【タイ市場】
2025年8月21日(木)、タイ・バンコクにて「2025年度タイ市場におけるインセンティブ旅行セミナー」をオンラインで開催した。タイのインセンティブ取扱い旅行会社約90団体100名が参加。日本側からはプレゼンターとして愛知県、茨城県、東北観光推進機構の3団体が参加した。
第1部では、日本とタイ双方のビジネス経験が豊富な講師による「タイ企業が求める訪日インセンティブ旅行」と題した講演を実施。市場トレンドの把握や視察先選定、日本企業へのアポイント取得方法、一般公開されていない施設へのプライベートツアーや訪問先経営幹部との直接対話、ミシュラン星付きレストランでのVIPディナー、伝統武道体験などの特別体験や参加者名入りの招待状やVIP車両での送迎、限定記念品の贈呈により、特別感と感動を提供する演出など、実践的かつ効果的な企画ノウハウを体系的に紹介した。
第2部のパネルディスカッションでは、各地域から、テクニカルビジット先や周辺施設、モデルコース、旅行会社向け支援メニューについて詳細に説明。第3部のオンライングループネットワーキングでは、日本側参加団体に同地域の事業者も加わり、グループ分けしたタイ旅行会社とより踏み込んだ意見交換や販売可能性の確認を実施した。地理的な制約がある中、参加者からの質疑応答も活発に行われた交流の場となった。
アンケート結果によると、参加者の94%が本セミナーに満足と回答。特に第2部のテクニカルビジット先紹介に最も関心が集まり、約95%が紹介された地域サービスの利用可能性を示した。タイ市場におけるインセンティブ旅行は「観光」だけでなく「視察」や「企業訪問」といったビジネス要素を含む行程のニーズも一定程度あり、多様な顧客に対応した複合的な商品造成が求められている。情報収集は、自社やランドオペレーターへの相談を中心に行う一方で、JNTOバンコク事務所のBtoBサイト等の情報源の活用も進んでいるため、こうしたチャネルを活用した情報発信強化を図ることで、連携促進および受注機会の拡大が期待できる。
本事業のアンケート結果を通じて、タイ市場における訪日インセンティブ旅行需要の一層の多様化が明らかになっている。新規オープンの観光・宿泊施設等に関する需要が引き続き高い一方で、テクニカルビジット先としてサステナブル対応や高齢者向けウェルネスなど、多角的なテーマへの関心が高まっている。これらの傾向を踏まえ、今後も具体的かつ実践的なニーズに即した商品造成支援と情報提供により、インセンティブの訪日促進に一層取り組んでいく。
【中国市場】
2025年1月から8月までの訪日中国人観光客数は約671万人を記録し、過去最高の2019年同期比+1.9%となった。また、既に2024年通年の訪日中国人観光客数の約96%まで到達しており、中国人の訪日旅行における需要は順調な増加傾向にある。
今回、中国4事務所は9月中旬に管轄地域内の旅行会社141社に対し、2025年上半期のインセンティブ旅行の実施状況に関するアンケート調査を実施した。当該アンケート結果を基にして、中国市場における訪日インセンティブ旅行の動向について紹介したい。
まず、中国のインセンティブ旅行の業界については、「保険会社」、「製造業」、「教育」、「サービス業」、「金融関係」が主な業界として取り扱いがあるという結果となった。また、旅行会社がインセンティブ旅行で取り扱った主な地域は、日本、中国国内、シンガポール、ヨーロッパ、韓国、タイの順となった。 次に、コロナ前後での海外へのインセンティブ旅行について比較すると、多くの旅行会社で3割から6割程度、取り扱いが減少しているという傾向が見られた。海外へのインセンティブ旅行が減少している理由としては、経済的な理由によりインセンティブ旅行を実施する企業が減ったことが主な要因として挙がった。同様に、コロナ前後での訪日インセンティブ旅行についても比較すると、多くの旅行会社で3割から6割程度の減少傾向が見られた。訪日インセンティブ旅行が減少している背景としては、インセンティブ旅行の企業予算が減少しているため東南アジア等のランド費用が比較的廉価な地域に需要が移っていること等が主な要因とされた。
訪日インセンティブ旅行の回復に向け、価格面以外で改善点があるか尋ねたところ、観光資源の魅力について情報発信の強化や日本の特色のある文化体験の提供、食事場所・ホテル・観光地等の大規模団体向けルートの整備等といった意見があった。さらに、8割以上の旅行会社の要望として、日本への旅行会社招請を多く実施してほしいという意見もあった。なお、旅行見本市「ITB CHINA 2025」の旅行トレンド報告によると、具体的な目的地の選択は、観光インフラ及び利便性、目的地の魅力、安全性という複数の要因に影響されると報告されている。これらのことから、今あるその地域ならではの特別な経験をより深化させ、定期的に各旅行会社へ現地の魅力的な観光地の情報提供や招請を進めていく必要があると考えられる。
中国の訪日インセンティブ旅行がコロナ前の水準に回復するのは2027年以降という回答が7割を占めていることも踏まえ、より多くの企業に訪日インセンティブ旅行を選んで頂けるよう、引き続き現地での情報収集と日本の魅力発信に努めていく。

※JNTO中国4事務所による旅行会社アンケート調査より
【メキシコ市場】
メキシコ事務所は、8月20日(水)~21日(木)にメキシコシティで行われたMICE見本市「IBTM Americas 2025」に出展した。同イベントは、メキシコを中心に北中南米のバイヤー、サプライヤー、ミーティングプランナー等が参加する中南米最大規模のMICE商談会であり、今年は20か国以上から3,900名が来場(2024年比20%増)。メキシコ事務所では、2日間でメキシコのバイヤーを中心に26件の商談を行った。
メキシコでは、インセンティブ専門の旅行会社は少なく、レジャーと兼業の旅行会社が多いのが特徴。今回商談した旅行会社へのヒアリングでは、日本への送客実績について、7割が「有」、3割が「無」と回答した。
日本への送客実績が「有」と回答した旅行会社のうち、半数以上は2025年は前年の送客実績を上回る見込みで、具体的には、「インセンティブ旅行の人気の旅行先は北米、欧州(特にイタリア、スペイン)で、その次に日本の名前が挙がってくるようになった」、「ゴールデンルートの混雑具合が有名になってきているので、まだあまり知られておらず混雑していない地域の情報が知りたい」、「日本はラグジュアリーな旅行先としての有力候補先として認知、台頭してきているので、ラグジュアリーな施設やコンテンツを手配できるDMCの情報が欲しい」という声が聞かれた。
一方、日本への送客実績が「無」と回答した旅行会社からは、日本への興味やニーズは増えているものの、「日本のDMCとの繋がりがなく、どこに依頼をしたらよいか分からない」、「航空券、ホテル料金等の高騰により、クライアントの予算に合わない」、「今後日本を取り扱いたいのでDMCの情報が欲しい」と言う声が聞かれた。
メキシコからのインセンティブ旅行は、旅行期間が限られた中で距離や料金がネックとなる場合が多いが、メキシコシティ~成田間は毎日2便の直行便が運航されているため、インセンティブ旅行需要の掘り起こしにつなげられるよう、引き続き市場開拓と情報発信を図っていく。
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