お知らせ
2026年04月02日 MICE市場トピックス
海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。
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【米国市場】
JNTOニューヨーク事務所では、1月11日(日)から14日(水)にかけてペンシルベニア州フィラデルフィアで開催されたMICE見本市「PCMA Convening Leaders」に参加した。本イベントは、ビジネスイベントの業界団体であるPCMA(Professional Convention Management Association)が主催する年次フラッグシップイベントであり、本年は設立70周年を迎え、43か国から4,211名(うち初参加1,000名)が出席した。
近年、コロナ禍を経てオンライン形式の会議が一定程度定着したことにより、対面での国際会議は「開催すること」自体が目的ではなく、「参加者にどのような体験価値を提供できるか」がより重視されるようになっている。加えて、米国内では会場費や人件費の上昇に加え、治安対策や運営体制の強化に伴うコスト負担も増しており、主催者側の意思決定はいっそう慎重になっている。このような状況下においては、先行きの不透明な開催環境にも柔軟に対応できる受入体制や、参加者に新たな価値を提供できるユニークな開催地が求められている。
こうした最新のトレンドを踏まえ、ニューヨーク事務所は主催者から推薦された8名のミーティングプランナーと商談を実施した。商談では、各国際会議観光都市の支援体制やアクセスに加え、安全性や日本ならではの文化体験を含むエクスカーションなど、参加者価値の向上につながる要素を中心に情報提供を行った。米国では東京・京都・大阪以外の都市の認知度があまり高くないが、JNTOが行ったファムトリップで評価の高かった新潟や山形など地方都市について紹介したところ、参加者から高い関心が示された。
商談相手からは、日本は独自の文化や高い清潔さ・安全性を有しており、国際会議の開催地として強い訴求力を持つとの意見があった。さらに、学会系会議においては、開催地のみならず著名な研究者や登壇者の存在が会議への参加に直結するとの指摘もあり、日本はこうした人材面においても優位性を有している可能性が示唆された。20年以上前に大阪で開催された国際会議が同団体にとって過去最大規模となっているとの声や、2030年に欧州・米州以外での開催を初めて検討しており、日本が候補の一つに挙がっているとの前向きな発言もあった。
また、同イベントではキーノートスピーカーによる業界動向に関する講演や研修プログラムのパネルディスカッションも行われた。講演では、対面型の国際会議に対してコスト面からの否定的な見方も一部にある中で、あえて対面で開催する意義や開催効果を参加者に対して丁寧に発信していく重要性が強調された。また、研修セッションでは、米国における入国政策や経済環境が流動的な昨今においては、開催地としての会場や宿泊施設の柔軟性および適応力が競争力を左右するとの意見があった。
本イベントを通じて、日本の地方都市での国際会議開催の可能性や、日本独自の文化的資源、安全性・清潔さといった強みを活かした開催効果を、継続的に発信していく重要性を改めて認識した。今後は、ファムトリップ招請や定期的な情報提供を通じたフォローアップを強化し、日本開催の具体化を図っていく。
【シンガポール市場】
シンガポールからの2025年の訪日旅行者は726,200人と、前年比 5.1%増で過去最高を記録した。これはシンガポール国籍約360万人のうち実に5人にひとりが1年間のうちに訪日している計算となり、訪日旅行の人気の高さが伺えるが、インセンティブ旅行市場においても日本の人気は根強い。旅行会社へのヒアリングによると関東、中部、近畿といった三大都市圏が上位を占めるものの、その一方でシンガポール航空の直行便(福岡空港)がある九州や、年間を通じての直行便はないものの根強い人気のある北海道も目的地として選ばれている。
シンガポールは訪日リピーターの割合が多く、日本文化に親しんでいる人も多いため、インセンティブ旅行においては、特別感やその地域ならではの体験、ユニークベニューの利用等を求めるニーズが強い。また、シンガポールの旅行会社が扱うインセンティブ旅行の中には、東南アジアを中心とした各国から集合するグループも多く、その場合は参加者同士の絆を強めることがより一層重要視されるため、全員が同じ場所で行えるチームビルディングの要望がよく挙げられる。なお、インセンティブ旅行の主催企業は不動産や保険業の他、製造業の比率も高い。シンガポールは国土面積が限られているものの、その中でも半導体等精密機器を中心として製造業も盛んでGDPの20%程度を占めている。実施時期についてはレジャー旅行のピークが学校休暇に合わせて6月や12月であるのに対し、インセンティブ旅行は5月及び10月がピークとなる。コロナ渦直後の2023年において大きな伸びがみられた訪日インセンティブ旅行であるが、直近の数年についてはシンガポールの景気低迷等の背景もあり、中国など安価な地域が選ばれる傾向がある。円安の傾向が続いていることはシンガポールの旅行会社から見ると価格面でメリットとなっているが、一方で日本へのフライトや宿泊は高騰している点が不利に働いている。しかし、基本的に訪日インセンティブ旅行のニーズは常に一定数あることから、魅力的なコンテンツ等での差別化により、訪日に繋げることがより重要となっている。
シンガポール事務所では毎年商談会へ参加し、新たな地域、分野の開拓を進めている。2024年からはThe Meetings Show Asia PacificというMICE商談会に毎年参加し、東南アジア各国を中心にAPAC地域での国際会議、インセンティブ旅行の関係者へのセールスを実施しており、引き続き訪日MICE需要の喚起を進めていく。
【ドイツ市場】
2025年1月から12月までのドイツ人訪日旅行者は42万人を超え、2024年の実績(約32万人)を大きく上回り、レジャーは大好調な市場である。一方で、悪化傾向にあるドイツの経済状況の影響もあり、ロングホールである日本に従業員をインセンティブ旅行に送り出すハードルは依然として高いようである。また、ドイツ企業においてはインセンティブ旅行を実施するための税制上のハードルがあるようで、ミーティング等の業務をいかに行程に含めるかなどの工夫が必要であるとの声も聞こえてきている。
JNTOフランクフルト事務所では、一定のハードルはありつつも、レジャー旅行での日本ブームに押されることでポテンシャルはあると捉え、インセンティブ旅行先としての日本の認知度向上を図ることを目的に、ドイツの大手旅行系BtoBメディアである「FVW」と連携し、ウェブサイトやニュースレターでの情報発信を行った。ニュースレター購読者数は1.2万人を誇り、ホテルや旅行会社なども多く登録していることから、インセンティブ旅行先をテーマごとにまとめ、モデルコースや宿泊施設、万博、チームビルディングに特化したコンテンツ等の情報発信を行った。特に、日本食に関連するスポットに焦点を当てたコンテンツへの反応が良く、たとえば日本酒の醸造所や、海女漁など日本ならではのコンテンツが読者には新鮮に捉えられたようである。
今後も日本ならではの特別な体験を取り上げ、ドイツから日本へのインセンティブ旅行の増加につながるような情報発信を行っていく。
【タイ市場】
2025年のタイからの訪日客数は123万を超え、2024年比で7.3%増加した。この数は、訪日客数が最も多かった2019年に次いで2番目に多く、特に2025年12月は単月では過去最高の174,000人を記録し、2026年1月も1月としての過去最高を記録するなど、直近でも好調に推移している。また、タイ市場においては個人旅行の比率が8割とFITが進む市場環境の中で、タイの旅行会社は、運転手付きのチャーター車利用等個人の手配旅行に加え、商務・公務双方のインセンティブ旅行に対する取組意欲を一層高めている状況にある。JNTOバンコク事務所では、そうした旅行会社とのネットワーキング及びインセンティブ旅行に関する情報提供・旅行商品造成促進を目的に、1月21日(水)にバンコク市内で開催された「Thai International Travel Fair Business Matching 2026」に参加した。タイ旅行代理店協会(TTAA)が主催する同イベントには、世界46カ国から400名以上のバイヤーと500名を超えるセラーが参加したところ、バンコク事務所は、インセンティブ旅行を取り扱うタイの旅行会社等22団体と商談を実施し、JNTOの支援制度やJNTOが運営するBtoBサイトの案内をする等、情報提供・コンサルティングを行った。
商談では、 JNTOや各地域の支援制度、日本のランドオペレーターの紹介、テクニカルビジットの情報に加え、具体的な訪問先や旅程等に関する質問・相談が多く寄せられた。具体的には、タイの文房具を製造・販売する企業による当該企業分野に関係する視察候補先の相談や、大阪で木版画を体験できる施設の紹介、学生団体が3週間程度日本に視察に行くため、教育関連の施設の紹介を希望するケースもあり、各旅行会社が有するクライアントによって、多種多様なリクエストがあり、こうした個別の要望に対する柔軟な対応・提案の重要性が改めて示された。また、年配の方向けの視察先に関する相談もあったが、昨今旅行会社から「Ikigai(いきがい)」に関する視察先情報を求める質問が当事務所にある等、日本と同様の少子高齢化が進むタイ社会において、高齢化社会における日本の先進事例の視察や、高齢者が旅行しやすい受入体制の構築といったニーズがインセンティブ旅行においても増している。
本イベントの主催者であるタイ旅行代理店協会(TTAA)によると、タイのアウトバウンドは今後3年で10%増加する見込みとされており、同国における更なる旅行需要の高まりが予想されている。また、商談においては、北海道、東京等に加え、仙台、長野、三重等への地方部におけるインセンティブ旅行を既に予定している旅行会社もあり、リピート率の高いタイ市場においては、地方部へのインセンティブ旅行需要も引き続き期待できる。
バンコク事務所では、タイ市場におけるインセンティブ旅行の需要を取り込むため、引き続き商談会の参加や旅行会社等からのヒアリング等を行うとともに、具体的かつニーズに即した商品造成支援と情報提供を実施することで、インセンティブ旅行の日本誘致促進に一層取り組んでいく。
【スペイン市場】
スペイン市場では、2025年の訪日旅行者数が推計245,600人 に達し、それまで過去最高であった2024年の182,284人から大幅に伸びており、MICE、特にインセンティブ旅行の分野においても同様の動きが見られている。こうした機を捉え、JNTOマドリード事務所では1月27日(火)にマドリードにてインセンティブ旅行ネットワーキングイベントを開催した。
本イベントには、インセンティブ旅行の企画・手配を行うスペインの旅行会社およびミーティングプランナー38名、日本の観光事業者18名が参加した。当事務所からは、基本的な一般観光情報に加え、ユニークベニューを含む体験情報や最新施設の紹介を行い、その後、日本側参加者がスペイン側参加者の着席するテーブルを順番に回り、商談を実施した。訪日インセンティブ旅行のプロモーションも兼ね、商談後には「豆つかみゲーム」(箸を使って小豆をリレー形式で容器へ移すタイムトライアル)による日本的チームビルディングや、華道・書道・唎酒・和菓子といった日本文化体験を取り入れ、参加者同士が交流できる場を提供した。その結果、アンケートでは約9割が「満足」と回答し、日本側参加者からは、イベント終了後に3件の見積もり依頼につながったとのコメントも寄せられ、本イベントへの満足度の高さがうかがえる結果となった。
さらに、スペイン側参加者38名のアンケート結果からは、インセンティブ旅行の需要が特に春季(3〜5月)および秋季(9〜11月)に集中していること、またクライアントは金融・保険、自動車関連、医療・製薬業界が多いことが明らかとなった。これらのクライアントは、差別化された体験や独自性・創造性・驚きを伴うオーダーメイド型の旅行を求めており、アクセスや価格面で一定の課題はあるものの、こうした点において日本を理想的な目的地と捉えるバイヤーが大多数を占めた。日本への送客実績については、2025年度ベースで約3割が200名以上を送客している一方で、約2割は実績がないなどバイヤー間で差が見られたが、7割以上が2026年度には送客数の増加を見込む結果となった。
マドリード事務所では、今後も日本におけるMICEの可能性を幅広く紹介しつつ、スペインのMICE関係者と日本の観光事業者とのネットワーク構築に向け、継続して取り組んでいく。
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