お知らせ
2026年08月03日 MICE市場トピックス
海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。
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【英国市場】
JNTOロンドン事務所は、6月7日(日)~9日(火)にポルトガル南部の海辺のリゾート地であるラゴアで開催されたAssociations World Congress 2026に参加した。本イベントはAssociation of Association Executivesが主催し、ヨーロッパを中心とした国際学協会の幹部、PCO(会議運営専門会社)、会議施設の関係者、各地域のコンベンションビューロー、学会運営に関連するテクノロジー企業等計270名が一堂に会し、業界の最新動向の共有と参加者同士のネットワーク構築を行うものである。
3日間にわたるプログラムでは、AIを中心テーマとしたセミナーが多数実施された。AI教育やガバナンス、AIを活用した学協会の運営に関する戦略や財務、会員交流におけるAIの活用など多岐にわたるテーマが取り上げられ、多くの学協会関係者がAIの具体的な活用場面や導入方法等について注目をしており、急激にAIの活用が進んでいることがうかがえた。
また、現下の地政学的状況(中東情勢、アメリカのVISA制限等)において、学協会及び学協会が主催する国際会議に与える影響や懸念が共有されたほか、将来にわたる学協会の持続的な発展の観点から、会員数の拡大が必要であり、特に学生や若い専門家がより積極的に会議に関わる機会を増やすことが重要であるとの声が多く聞かれた。
JNTOは、会期中に設定された商談機会を活用し、欧州に拠点を有する国際的な学協会関係者等21団体と商談を実施した。商談では、MICE目的地としての日本の魅力やJNTOによる支援内容、日本各都市の受入体制等を紹介するとともに、各団体が有する国際会議の日本での開催可能性等について意見交換を行った。今後の開催地として日本を積極的に検討したいとの意向を示す団体もあり、日本開催に対する高い関心が確認された。
学協会関係者からは、誘致・開催に向けた準備を円滑に進めるため、日本側のローカルチャプターや会員がJNTOや各都市のコンベンションビューローと早期に連携することの必要性を指摘する声が聞かれた。また、開催候補地について、国際アクセスの利便性、開催規模、予算、受入体制等を踏まえた具体的な相談が寄せられ、各団体のニーズに応じて、各地域の特色や受入体制を活かした提案を行うことで、国内各地での誘致可能性を広げていけることがうかがえた。
本イベントは、欧州の学協会関係者に対する日本のMICE開催地としての認知度向上に加え、今後の国際会議誘致に向けた有望案件の把握や関係構築の観点からも非常に有意義な機会となった。
【イタリア市場】
2025年のイタリアからの訪日客数は30万人を超え、日本は引き続き人気のロングホール旅行先となっている。MICEデスティネーションとしての日本の認知度はレジャー目的の旅行先としての認知度と比較するとまだ低いが、一般観光の日本人気を追い風として訪日MICE需要の拡大を図るため、JNTOローマ事務所では2025年度に引き続き、本年度もMICEセミナーを開催した。
今年度は5月26日(火)にミラノにおいて、インセンティブ旅行を扱う旅行会社やインセンティブハウスの20名を対象としたインセンティブ旅行セミナーを開催した。日本食が訪日インセンティブ旅行でも重要な魅力の一つであるため、日本食レストランを会場として選定し、セミナーに引き続き参加者との意見交換を行うネットワーキングも行った。
セミナーでは、日本の基本的な観光情報に加え、インセンティブ旅行のモデルルート、文化体験、ユニークベニューなどを紹介した。イタリアからのインセンティブ旅行は東京や京都などゴールデンルートの訪問が大半を占めるものの、近年は地方への関心も高まっていることから、沖縄や四国などのモデルルートを紹介した。また、食や文化体験への関心が高いことを踏まえ、実際のインセンティブ旅行の中で組み込むことができる日本文化体験として、和菓子作りや金箔工芸の体験なども紹介した。
参加者の中には訪日経験者やインセンティブ旅行を日本に送客した実績を持つ担当者もいた一方で、今後新たに日本へのインセンティブ旅行を扱いたいという担当者も多く見られ、訪日インセンティブ旅行に適した日数や季節に関する基礎的な情報提供を行ったほか、迅速かつ柔軟な対応が可能なDMCを紹介してほしいといった要望が寄せられた。また、イタリア語ガイドの確保が課題となっており、春や夏のピークシーズンにイタリア語ガイドの手配が難しく、イタリア語ガイドを手配できる体制が重要といったコメントが寄せられた。セミナー開催後には、インセンティブ旅行向けの食事会場やホテルに関する具体的な問い合わせが寄せられており、日本への関心の高まりを確認できた。
今後も継続的に日本の多様な魅力を発信し、MICEデスティネーションとしての日本の認知度をさらに高めていくための取り組みを行っていく。
【米国市場】
JNTOロサンゼルス事務所は、5月31日(日)から6月2日(火)にフロリダ州南部のリゾート地であるボカラトンにて開催されたインセンティブ旅行イベントIncentive Liveに参加した。本イベントは、北米MICE業界の有力メディア・イベント企業であるNorthstar Meetings Group(NMG)が主催するイベントで、インセンティブ旅行を取り扱う北米の有力なホステッドバイヤーと宿泊施設やコンベンションビューロー、DMCなどのサプライヤーが参加し、事前アポイントメントによる個別商談や業界を代表する専門家による講演等を通じて、最新の業界動向やベストプラクティスが共有された。ロサンゼルス事務所は本イベントにおいて21件の商談を実施し、インセンティブ旅行、企業会議、エグゼクティブリトリート*、国際会議など幅広い分野について具体的な商談を行った。ロサンゼルス事務所による本イベントへの参加は昨年度に続き2度目となったが、今回も質の高いインセンティブ旅行バイヤーが多数参加しており、有力なインセンティブプランナーに直接アプローチできる有効な機会となった。
基調講演では、インセンティブ旅行の国際的業界団体であるSITE(Society for Incentive Travel Excellence)のCEO、アネット・グレッグ氏が登壇し、中東情勢をはじめとする地政学リスクやインフレ圧力など、不確実性の高い事業環境が続く中で、インセンティブ旅行需要は引き続き堅調に推移しているとの見解が示された。インセンティブプランナーは、コスト上昇や予算管理、安全・治安面への配慮といった課題に直面しているものの、企画・予約活動は総じて活発な状況にあるという。またインセンティブ旅行の在り方にも変化が見られる。従来は営業成績優秀者を対象とした報償型プログラムが中心であったが、近年ではチームビルディングを通じた従業員エンゲージメントの向上や、組織内のつながりの強化を重視する傾向が強まっているとの認識が共有された。特に、若い世代の参加が拡大する中で、参加者一人ひとりのニーズや希望に応じた、柔軟かつパーソナライズされた体験プログラムの設計がますます重要になっているという。
開催地の選定においては、コスト管理やアクセスの利便性に加え、安全性や地政学的な安定性が重要な判断要素となっているとの分析が示された。
市場分野別では、テクノロジー、自動車、医療、アソシエーション(学協会)分野が有望なターゲットとして挙げられたほか、多くのプランナーが既に2028年以降を見据えた案件の選定・企画を進めており、中長期的な需要に対する期待の高さがうかがえた。
実際に今回の商談では、多くのプランナーから、欧州やカリブ海地域といった従来の主要な海外のデスティネーションに代わる魅力的な選択肢として日本が認識されているとの声が聞かれた。プランナーからの相談内容としては、昨年度に引き続き、高級宿泊施設や特色ある会場、本物志向の体験に関するものが多く、特に5つ星ホテルやクワイエット・ラグジュアリーと言われる、控えめで上質なラグジュアリーを提供する施設、東京・京都以外の新たなデスティネーションに対する関心が高かった。その他、スキーリトリート、ウェルネスプログラム(森林浴、瞑想、ヨガ、スパ体験等)、お遍路、クルーズ、ゴルフリトリート、ハイキングといった自然体験などユニークなプログラムへの関心も多く寄せられ、各地の多様な地域資源を活用した体験型コンテンツを有する日本が、インセンティブ旅行市場において有力デスティネーションとして評価されていることを再確認する機会となった。
引き続きロサンゼルス事務所では、地域サプライヤーとの連携を強化しながら、業界パートナーシップの拡大ならびに地域体験コンテンツのさらなるプロモーションに取り組み、日本のインセンティブ旅行デスティネーションとしての競争力向上を図っていく。
*エグゼクティブリトリート:経営幹部が通常の職場環境を離れて集まり、日々の業務から距離を置きながら、経営戦略の検討や組織の長期ビジョンについて議論し、意思統一を図るための合宿型会議。
転載禁止(©JNTO)
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