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2026年09月14日 MICE市場トピックス

海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。

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【マレーシア市場】

 JNTOクアラルンプール事務所は、7月6日(月)にマレーシア北部最大の都市であるペナン市内のホテルで、7月7日(火)にクアラルンプール市内のホテルで、それぞれ旅行会社向けインセンティブセミナーを開催した。

 ペナン会場には旅行会社22社37名、クアラルンプール会場には旅行会社34社58名が参加した。セミナーでは、クアラルンプール事務所に加え、札幌コンベンションビューロー、一般社団法人東北観光推進機構、公益財団法人するが企画観光局、公益財団法人広島観光コンベンションビューロー、鳥取県、一般社団法人佐賀県文化観光連盟、公益財団法人北九州観光コンベンション協会の計8団体が登壇し、プレゼンテーションを実施した。

 日本側の各団体からは、インセンティブツアー向けの観光施設や体験コンテンツ、モデルプラン、新規宿泊施設、旅行会社向け支援制度など、商品造成に有用な情報が紹介された。参加者は各地域の特色ある観光素材や受入環境について熱心に聴講しており、日本の地方都市に対する高い関心がうかがえた。

 また、クアラルンプール事務所からは、事前に全国の自治体やDMO等約20団体へ協力を依頼し、海外旅行会社向けの助成制度や支援メニュー等の情報収集を行った結果を紹介した。あわせて、収集した情報を資料として取りまとめ、セミナー終了後に参加旅行会社へ提供した。

 参加者アンケートでは、セミナー全体および各地域のプレゼンテーションに対して高い評価が寄せられた。多くの旅行会社からは、「これまで知らなかった地域を知ることができた」「インセンティブ旅行の新たな提案先として活用できる可能性を感じた」といった意見が寄せられた。特に、東京や大阪などの主要都市以外の観光素材に対する関心が高く、自然体験、温泉、食文化、四季を活かしたアクティビティ、歴史・文化体験といった地域ならではのコンテンツが評価される結果となった。

 さらに、今後の商品造成や商談において必要な情報として、助成金や支援制度に加え、大人数の受入れが可能なレストランや宴会場、インセンティブ向けの特別体験プログラム、地域独自の文化体験、モデルコース、現地事業者との商談機会などを求める声が多く見られた。また、ムスリム対応施設や食事環境に関する情報提供を希望する意見もあり、市場ニーズに対応した受入環境の整備や情報発信の重要性が改めて確認された。

 一方、日本をインセンティブ旅行先として提案する際の課題としては、予算面のほか、地方都市へのアクセスや大人数の受入れ体制に対する懸念が多く挙げられた。特にマレーシア市場では100名を超える大型案件も多く、大規模な会場やレストラン、移動手段の確保に関する情報への需要が高い。このため、自治体・DMO等が保有する支援制度や受入実績、アクセス情報を分かりやすく発信することは、旅行会社の商品造成や送客促進において重要な要素であると考えられる。

 今回のセミナーを通じて、マレーシアの旅行会社が日本の地方デスティネーションに対して高い関心を有していることが改めて確認された。特に、地域独自の体験コンテンツやインセンティブ向け支援制度に対する需要は大きく、参加者からは「さらに多くの地域の情報を知りたい」との声も数多く寄せられた。今後、自治体・DMO・CVB等が地域の観光資源だけでなく、支援制度や受入体制、ムスリム対応情報などを継続的に発信することで、マレーシア市場における地方へのインセンティブ需要拡大および新たな送客機会の創出につながることが期待される。

クアラルンプール会場の様子
クアラルンプール会場の様子
ペナン会場の様子
ペナン会場の様子

【台湾市場】

 台湾発の訪日インセンティブ旅行は、夏の学校休暇や春節といった一般観光のピークシーズンを避ける形で、3~5月や9~11月に多くの企業が実施・予定している。直近でも様々な企業インセンティブツアーが催行されており、一般観光とはまた違った特別感のある旅行が実施されている。リピーターが約9割を占める台湾ならではの、日本の地方を訪れた事例や、MICEならではの特別感のあるコンテンツを含んだ事例を以下に紹介する。

 ある台湾の保険代理店は、社員約1,000名を対象に2026年5月に九州地方のインセンティブツアーを実施した。宿泊日数は台湾で最もスタンダードな4泊5日で、参加者が1,000人と大規模なため3回に分けて催行された。主要都市の移動には、JR九州の特急列車を全車両貸し切りで運行し、ホーム上の電光掲示板には主催者企業の専用列車である旨の表示が行われた。自社の企業名が電光掲示板に表示されるという特別な演出に参加者たちは大いに喜び、みな記念撮影を行っていた。さらに、今回のインセンティブツアーのための記念乗車券を作成して参加者に配布したり、車内で提供したお弁当には特急列車の写真と企業名・企業ロゴをあしらったオリジナルデザインのカバーをつけたりするなど、随所に特別感を演出した。鉄道を利用したMICEの取り組みで貸し切り車両は珍しくないが、単なる空間の独占にとどまらず、社員同士で写真を撮りたくなる電光掲示板の表示、帰国後も手元に残したくなるような特別乗車券の作成、弁当までもWow Factor(驚きと感動の要素)の1つにしてしまう演出など、手配側と受け入れ側双方の細部にわたる工夫が参加者に大きな満足感を与える結果となった。

 また、最近の台湾市場の動向として、新規就航便や地方路線の増便が顕著に見られる。2026年9月に予定されている新規就航分を合わせると、台湾から日本の31都市を結ぶ直行便が就航することになり、これに伴い行程の選択肢も多様化している。一般的にインセンティブツアーは複数旅行会社による入札制が多いため、旅行会社は魅力的な提案を行うべく、往路と復路で異なる発着空港を利用して、国内移動の効率化や訪問都市の多様化などの工夫を凝らし、主催者に提案して採用されているケースも散見される。例えば、福岡から入国し広島から出国するインセンティブツアーや、仙台イン青森アウト、熊本イン鹿児島アウトなど、往復において異なる空港を使う事例も出てきている。直行便が就航するエリアでも、広域的な周遊を意識しながら、インセンティブツアー向けコンテンツのPRを展開していくことが求められている。

 リピーターが多い台湾ならではの地方へのインセンティブツアーの事例を紹介したが、これらは日本の各地方自治体や関係者が台湾現地で積極的にプロモーションを重ねてきた成果と言える。最近でも、様々な地方自治体が観光業界のステークホルダーと共に台湾を訪れ、旅行会社へのセールスおよび台湾での独自セミナー・商談会を実施している。訪日リピーターが多くゴールデンルート以外の新たな日本の目的地を探している台湾と、台湾から直行便が就航しているものの、二次交通に課題を抱えがちな日本の地方部にとって、貸切バスでの移動が中心で、主催者が決定した目的地を訪問するインセンティブツアーは非常に親和性が高い。台湾におけるインセンティブツアー需要の取り込みに向け、日本の各地方の取り組みがさらに活性化することが期待される。

【フィリピン市場】

 フィリピンにおけるインセンティブ旅行の特徴として、一般的な企業の優秀社員に対する報奨旅行に加え、「アウティング」と呼ばれる社員旅行が非常に盛んに行われている点が挙げられる。日頃ともに働く同僚が旅を共にすることで結束力が強まり、チームビルディングに繋がる点から重視されており、今後もインセンティブ旅行は継続的な成長が期待される。

 航空会社については、フルサービスキャリア(FSC)を選好する傾向が非常に強く見られる。団体移動においては快適性や定時性、サービスの信頼性が重視されるため、旅行会社も原則としてFSCの利用を推奨しているようだ。コスト意識は強く、日本は魅力の高いデスティネーションである反面、予算条件が合わない場合には、タイ、ベトナム、台湾など他国へ切り替えられる傾向がある。宿泊施設は4つ星以上を基本としているが、宿泊施設の供給状況や予算によっては、クライアントの同意を前提に3つ星ホテルを手配することもある。

 旅程にはショッピングの組み込みが必須で、アウトレットモールやディスカウントショップ、百貨店等での買い物時間の確保が不可欠である。また、JNTOマニラ事務所に寄せられるインセンティブ旅行支援の傾向をみると、北海道が東京や大阪の約2倍の実績を有しており、近年は直行便のある福岡や名古屋など地方都市を新たな目的地として検討する動きも見られている。

 チームビルディングの一環として、特に近隣の東南アジアで実施されるインセンティブ旅行では、パーティーゲームや運動会に似た参加型イベントが実施されるケースも多く見られ、参加者同士の一体感を高めることを目的にフィリピン人参加者から高い評価を得ているようだ。そのため、このようなイベントを柔軟に組み込むことが可能な地域や施設は、インセンティブ旅行先として好まれる傾向にある。

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