ここが知りたいコンベンション組織作りとスケジュール
組織作りとスケジュール
このコーナーでは、国際会議開催の準備に必要な情報をお届けいたします。第1回目は、国際会議を運営する最初のステップである組織作りとスケジュールについてご紹介します。
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1. 組織委員会
国際会議の組織委員会は、会議の準備および運営に関する最高意思決定機関です。国際本部との連絡、準備および運営に関する重要事項の審議と決定、全体進行管理などを行います。
組織委員会にて検討・決定すべき、考えられる主な重要事項
- 収支予算(収入と支出のバランス、項目と内容)の検討
- 予算案の決定、必要に応じた改訂
- 会議参加登録料の決定
- その他、会議全般に関する重要事項の審議と決定
組織委員会は、国際会議の誘致活動を行ってきた準備委員会を改組して作ることが一般的です。組織委員会のメンバーは、主催する組織を中心に、出身母体や勤務先など今後の準備に役立つようバランスを考えて行うと良いでしょう。
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2. 各種委員会
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2-1. 組織委員会と委員会
組織委員会のもとに、プログラムや財務などの主要準備項目を担当する各委員会を設置します。委員会の委員長は、組織委員会のメンバーがなり、準備の進捗状況を組織委員会の会合にて報告します。また組織委員会で決まった準備方針を委員会に伝え、具体的な準備に反映します。
組織委員会は、最終的な意思決定、国際本部との連絡、全体的な業務の統括を行い、具体的な準備業務は各委員会が分担して行います。 -
2-2. 委員会の種類
開催する国際会議の規模にもよりますが、主な項目だけでも10個ほどの委員会を作る必要があります。〔下記参照〕。最小の構成では、プログラム委員会と、 以下の委員会をまとめた運営委員会によって行うこともあります。 以下は委員会の例ですが、会議の規模や性質に応じて、効率よく作業が行えるよう、どんな委員会を設置するかをよく検討して設置します。
No. 委員会名 概要 1. プログラム委員会 会議のプログラムに関するすべての業務 2. 募金委員会 経費確保のため、募金活動を行う場合の、募金に関するすべての業務 3. 財務委員会 財務、会計に関するすべての業務。募金委員会とは別途設置する 4. 会場委員会 会場全般に関する業務 5. 行事・接遇委員会 社交行事・接遇に関するすべての業務 6. 宿泊・旅行委員会 宿泊・旅行に関するすべての業務 7. 登録委員会 登録に関するすべての業務 8. 広報委員会 広報・PRに関するすべての業務 9. 展示委員会 展示に関するすべての業務 10. 総務委員会 他の委員会に属さない業務
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3. 事務局
組織委員会の発足にあわせ、事務局を設置し、会議準備のための実務作業をスタートさせます。事務局は、すべての問い合わせや資料が集まる情報の集約ポイントであり、蓄積する機関でもありますので、常に会議の準備状況を把握していることが重要です。
委員会のスタート時には、委員への依頼状の発送、承諾書の保管、委嘱状の発送、委員の住所録の作成と更新を行います。各委員会が動き出してからは、予算管 理、スケジュール管理(進行管理)をはじめ、委員会会合の会場おさえ、茶菓の手配、委員会の開催通知、出欠の確認、委員会議案、議事資料のまとめ、議事録 の作成、各種議事資料の保管、委員会での旅費の支払い、問合せ対応の窓口等を担当します。
サーキュラーが発行され、参加登録や論文申込みの受け付けがはじまってからは、登録受付、論文受付、寄附金受付など全ての問合せ対応や受付の業務を行わなければなりません。これらの国際会議の準備事務は、かなりの業務量となります。
会議の開催期間中は、会議の運営本部としてすべての情報を集約し、各委員の活動の補佐を行います。会議終了後は、残務整理として、資料や会計の取りまとめを行うことが主たる任務となります。 -
4. パートナーとしてのPCO
国際会議の誘致や実際の準備運営にPCO(Professional Congress Organizer)をパートナーに選ぶことがあります。PCOは、ときには数年間に及ぶ会議の準備期間中の重要なパートナーであり、多くの重要な仕事を まかせる存在ですので、適切なPCOを選ぶことが、会議の成否を決める大きな要素ともなります。PCOは単に国際会議の実務代行者ではなく、会議の専門家 でありコンサルタントです。見積もりや依頼内容について聞きたいことがあれば殆どのPCOは無料で相談に応じてくれます。
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5. 準備スケジュールの作成
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5-1. スケジュール作成の目的
会議の準備スケジュールは、事務局、委員会の役割と、いつごろ何があるのか、そのために何をしなければならないのかを明確にするとともに、各委員会間の連携 する部分を明らかにし、関係者が共通の理解をもてるようにします。また、準備項目のもれや遅れが生じないよう、委員会、事務局それぞれに準備スケジュール を作成します。
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5-2. スケジュール作成のポイント
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余裕あるスケジュールをたてる。
A 立ち上げ時期 会議開催の2~3年前。日本開催が決定後、具体的に準備が動き出すまで。主催者としての枠組み作りをこの時期に行う。
- 組織作り
- 予算作成
- 全体の計画作り
B 準備時期 事務局が立ち上がり、各委員会も会合を開いて準備を具体的にすすめる。
- 各種サーキュラーの作成配布時期、論文募集や参加登録受付の開始時期など、道標となるものを示す。
- 関連の国際会議や国内会議の現場は、参加プロモーション活動を行う絶好の機会である。どのようにPR活動を行うと効果的かなどをよく検討する。
- プログラムのとりまとめについては、以下のタイミングに留意する。 重要講演などの招待スピーカーの検討・決定/一般の論文募集、査読/プログラム編成/論文の採否通知
- 参加登録の早期割引料金の適用期間
- 参加登録、宿泊申込の事前締切のタイミング
C 最終調整期 会議の3ヶ月前くらいから会議開催直前まで。全ての業務が同時平行ですすむ時期である。前もって必要な作業内容を洗い出しておき、予算や人員措置を講じておかなければならない。
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会議終了後のスケジュールを含める。
会議終了後も、礼状、報告書、論文集の作成や編集、印刷などの業務がある場合が多く、会計報告を含め、会議終了後2~3ヵ月は残務整理などの業務が残ります。また、報告書や論文集を作る場合、3、4ヵ月から半年程度かかることも珍しくありません。会議収支の決算は、これらの制作物作成など、すべての業務の 完了をもって行うこととなります。
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6. 組織委員会の解散
会議終了後、組織委員会はその役目を終え解散するまでに、報告書や論文集の作成・決算と関係者へのあいさつなど、重要な仕事を行わなければなりません。
解散について、組織委員会規約に記述してある場合はそれに従います。事務局は、組織委員会が解散するとともにその役割を終えることになります。
※さらに詳しい情報をご希望の方は、当機構発行の「国際会議マニュアル」をご提供いたしますので、お問い合わせ下さい。