誘致・開催レポート

「第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会2019」を開催して

京都国立博物館 副館長 栗原 祐司 MICEアンバサダー

国際会議主催者の生の声をお伝えするコーナー。今回は2019年9月に京都市で開催された「第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会2019」を主催された栗原祐司先生にお話を伺いました。栗原先生は、2014年よりMICEアンバサダーとして広くご活躍いただいております。

「国際博物館会議」は、今回初めて日本で開催されました。会議は国立京都国際会館で開催され、世界141の国と地域から、4000人を超える博物館の専門家が京都に集まりました。 ICOM京都大会のテーマは、「Museums as Cultural Hubs: The Future of Tradition(文化をつなぐミュージアム ―伝統を未来へ―)」、平和で持続可能なよりよい未来を構築するために博物館が果たすべき役割は何かを考えるべく活発に議論が交わされました。また開催地となる京都の魅力を堪能できるよう、二条城や平安神宮でソーシャル・イベントも数多く開催されました。

会議概要

会議正式名称 第25回ICOM(国際博物館会議)大会
The 25th General Conference of the International Council of Museums
開催期間 2019年9月1日~2019年9月7日
開催都市/会場 京都 / 国立京都国際会館
参加者数 4,000名
ウェブサイト https://icom-kyoto-2019.org/index.html

日本へのICOM誘致成功のポイントを教えてください。

日本へのICOM誘致成功のポイントを教えてください。

1946年にICOMが発足し1952年に日本も加盟し活動していましたが、その後中々日本で開催されませんでした。日本で開催する機運が高まり、開催の6年前にあたるリオデジャネイロ大会で大会誘致を表明しました。一番最初に立候補に名乗りを挙げたこと、またJNTO・文部科学省・文化庁・京都府・京都市・京都文化交流コンベンションビューロー・国立京都国際会館の支援をうけオールジャパン体制での誘致活動を行ったことが、誘致成功の大きな要因だと思います。

開催に向けて工夫された点を教えてください。

開催に向けて工夫された点を教えてください。

開催地である京都は海外の関心も高いため、参加者は増えるだろうと思っていましたが、日本の関係者をどう巻き込むかが課題でした。日本人の参加者を増やす対策として同時通訳を入れるなど工夫を凝らし、国内外の様々な団体に声を掛けてICOM京都大会のPRを行いました。その結果予想を超える数の関係者が参加しました。

ICOMに対する市民や地域からの関心も高かったと感じますか?

ICOMに対する市民や地域からの関心も高かったと感じますか?

オリンピックを来年に控えているだけでなく文化庁が京都へ移転するタイミングであったため、ICOMの開催に向けて京都市・京都府が大変協力的で、公式行事以外の関連イベントを市内でたくさん実施することができました。地元のメディアにも取り上げてもらいましたので、市民に興味を持ってもらえたことで市全体での盛り上がりとなり、大変良かったと思います。

今回のICOMはどのような意義があると思いますか?

今回のICOMはどのような意義があると思いますか?

今回のICOMの中で博物館の定義・役割が、文化財・美術品の収集・保存・展示から、気候変動や移民といった問題を解決する社会的な意味合いを持たせる形に見直されます。それによって博物館政策も変わっていくでしょう。そのきっかけがこの京都大会であるので、参加者にとって印象に残る大会になると思います。

今後会議の誘致や開催を予定されている方に、メッセージをお願いします。

今後会議の誘致や開催を予定されている方に、メッセージをお願いします。

ICOM京都大会の開催のため4年間世界を駆けずり回りました。1人でではなくチームで誘致活動を進めましたが、チームリーダーのもとで良好なチームを作り役割分担をして活動していくのが大事だと思います。また実際開催にあたっては、地方自治体やPCO(会議運営会社)との意思の疎通が非常に大事です。今回もトラブルはありましたが、なんとか乗り越えて開催までたどり着きました。色々な団体といかに円滑に連絡を取り合っていくかが最大の秘訣だと思いますので、今後も是非色々な国際会議開いて、日本の良さを伝えていければいいなと思います。

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