誘致・開催レポート
「第20回システムバイオロジー国際会議(ICSB2019)」を開催して
沖縄科学技術大学院大学 准副学長 森田 洋平 MICEアンバサダー
沖縄科学技術大学院大学 細胞シグナルユニット 教授
山本 雅 様
国際会議主催者の生の声をお伝えするコーナー。今回は2019年11月に沖縄で開催された「第20回システムバイオロジー国際会議(ICSB2019)」を主催された森田洋平先生、山本雅先生にお話を伺いました。森田先生は、2017年よりMICEアンバサダーとして広くご活躍いただいております。
「第20回システムバイオロジー国際会議(ICSB2019)」は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催されました。ICSBは、2000年に東京で初めて開催され、その後毎年世界各国で開催されているシステム生物学の最大の国際学会です。前回の日本での開催はICSB2006(パシフィコ横浜)で、今回は12年ぶりに日本での開催となりました。今回の沖縄開催ではAI分野の研究者の参入を促し、従来のシステム生物学の枠組みを超えた大きな研究の流れを生み出すエポックメイキングな会議となりました。
会議概要
会議正式名称 | 第20回システムバイオロジー国際会議 International Conference of Systems Biology(ICSB2019) |
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開催期間 | 2019年11月1日~2019年11月5日 |
開催都市/会場 | 沖縄 / 沖縄科学技術大学院大学(OIST) |
参加者数 | 442名 |
ウェブサイト | https://www2.aeplan.co.jp/icsb2019/welcome_massage_ja.html |
日本へのICSB誘致までの経緯を教えてください
山本先生:
ICSBの第1回の開催は東京で開催されました。今回は20回目の節目の年に、また日本で開催したいという思いで立候補しました。開催地の候補選定では、東京や大阪に比べて開催費用が抑えられること、OISTが掲げる学術的な研究理念が会議のコンセプトと一致していること、などの理由から沖縄に決定しました。また沖縄は観光的にも大変魅力的で、上手くPRすれば参加者も多く集まると考えました。当初は欧米からの乗り継ぎや飛行時間を考えると本当に海外から人が集まるのか不安もありましたが、ふたを開けてみれば、昨年のリオ大会を大きく上回る442人が海外から参加しました。沖縄だからこそ、これだけ多くの参加者が訪れたのだと思います。
森田先生:
今回はOISTも会議のスポンサーとして関わることができたことが大きかったです。懸念は国内の先生達を巻き込んで、どういう形で実行委員会を作るかでした。先が見えなくて苦労しましたが、山本先生の人脈のお陰で、システムバイオロジーの権威の先生方にお集まりいただくことができ、素晴らしい人選ができたと思います。
森田先生:
過去にはOISTで開かれた会議に参加したことがきっかけでOISTを知り、OISTに就職した人もたくさんいます。沖縄の恩納村にOISTのような大学院・研究施設があることは、世界の研究者にはまだあまり知られていません。OISTで行われている分野を超えた研究がどのようなものか、来て初めて感じ、理解していただけると思うので、そのためにも国際会議を開催することは重要だと考えています。 また、沖縄の方々の外から来た人を受け入れる精神が素晴らしく、人が優しいと感じます。参加者が観光や食事などで市内に出た時にも、よいフィードバックをいただけています。また、海や山が美しく、そのような環境の中、いつもより活発に議論が交わされており、アカデミックなネットワークを築く絶好の機会となっています。
今後会議の誘致や開催を予定されている方にメッセージをお願いします
山本先生:
まず言語の壁をクリアする必要があります。最近の若い方は英語を話せますが、海外とやり取りをするときには円滑なコミュニケーションが必須です。主催者が海外の人を受け入れる体制を理解していないと難しいでしょう。
森田先生:
良いPCOを選ぶのも非常に大切です。その後の気苦労が全然違います。PCOのサポートがあるとプログラムに集中できます。今回は山本先生の推薦で過去実績のあった会社に頼んだので、ほとんどトラブルもなく素晴らしい運営ができています。事業者の選定にあたっては信頼のおける人からの口コミで選ぶのが良いでしょう。また実行委員会をしっかりしたメンバーで組むことも重要です。