インセンティブ旅行の誘致、決定までの流れ、プロモーションのポイントをご紹介します。

③ 海外主催者・プランナーの目線で

チームトラベル・インターナショナル社 代表
ユージ・アンドレアス・ヴェンドラーさん

ドイツのMICE企業のイベントプランナーとして、日本に数多くのMICE参加者を送客し、JNTOの「JAPAN Incentive Travel Awards」でも受賞経験がある、ヴェンドラーさんに、送客側の視点で欧米からの訪日インセンティブ・トラベルの課題とアドバイスをいただきました。

開催地決定の切り札は何か、というのはとても答えづらい質問ですね。日本の場合には香港やシンガポールが競合先になることが多いのですが、場合によってはカリブ海クルーズと東京のどちらがいいかと悩むこともあります。主催企業の要望・目的、どのような体験を提供したいかによって開催地選定でもっとも重要な項目が変わってくるからです。

そしてクライアントの要望というのは「興味深いものがあって、よく聞く場所でありがながら、訪問者が少なかったりMICEで使われることがあまりない場所」という曖昧なものが多く、なかなかそういう場所はないので、どのような提案をするかが鍵になってきます。

私どもイベントプランナーの視点で考えると、受入側が私たちの要望にどれだけ柔軟に対応してくれそうか、という点がもっとも大切なポイントといえます。そしてインセンティブ旅行では常に“特別な”体験が必要で、前例がないことや難しそうなことに価値があるという点を理解してもらいたいです。ユニークベニューでのパーティー開催などの要望が多いのもそのためです。テーブル上の花のアレンジや、特別な食事の提供、装飾など、細かな要望に対応してもらうことが、参加者の満足感につながるのです。素早いレスポンスもプロフェッショナルとしての信頼感を得るのに重要ですね。「この会社は慣れているんだな、受け入れの体制が整っているな」と感じます。

DMOが取り組むべきことは、プランナーガイドの制作、海外見本市参加、JNTOに加盟しサービスを活用することなど、明確ですのでなるべく早く準備を進めると良いと思います。また、自治体や行政・関連業界と連携し、ユニークベニューの使用条件の緩和を進めることはもっとも重要な一つだと思います。最近は利用できる施設は増えていますが、まだパーティーの時間のみの開放も多いのが現状です。やはり参加者の心に残るイベントにするためには、演出・装飾などの準備が必要なので、施工時間を含めた開放も必要になります。

一般観光でも言えることですが、日本が解決すべき課題は、ラグジュアリー市場の取組みとナイトライフの充実だと考えています。

先日F1レースの大会期間中に主催者のVIPの誕生パーティーが豪勢に行われたのですが、22時半になったところでスタッフがきて、時間なので終了ですと言われたそうです。諸事情があるのは理解できますが、ディスティネーション・マーケティングの視点から考えても、世界中から集まる約1,000人のチーム・報道関係者が、退屈な国だという印象をもつことで、多くの人に伝播します。1イベントのために日本ブランドにとって大きな損失を被るのは非常にもったいないことだと思います。

インセンティブ旅行は、人数は少なくても消費額の大きいラグジュアリー・トラベルの1つでもあります。そこでの観光収入に加えて、影響力の大きい彼らがインフルエンサーとして、さらに大きなベネフィットを日本のMICE産業にもたらすでしょう。