ニュース

2022年01月04日 MICE市場トピックス11月号を公開します

中国市場、韓国市場、シンガポール市場、およびロシア市場についてレポートします。

① MICE関連の旅行会社や関係団体の動向
② MICE関連の訪日意欲の有無・変化
③ イベント開催の有無とその感染症対策
④ その他の特記すべきトピックス、ニュース (特筆する情報がない場合は、当該番号に「なし」と記載しています。)

本情報の転送や媒体掲載はご遠慮ください。

【米国市場】
JNTOニューヨーク事務所が参加したMICE関連イベントについてレポートします。

IMEX America 2021 Las Vegas(開催地:ラスベガス、開催日:11月9日~11月11日)
会場内の様子  日本ブースでの商談の様子

米国のMICE 主催者、ミーティング・イベントプランナー等の業界関係者を対象とした見本市、IMEX Americaがラスベガスでオンサイト開催され、200ヵ国以上・2,200団体以上のセラーが出展、3,300名以上のバイヤーが参加した。JNTOは2ブースを出展したが、事前アポイントに加えて60名以上のウォークインバイヤーが訪れ、アフターコロナにおける日本への関心の高さを強く実感できるイベントとなった。JNTOへのアポイントは米国のほかにメキシコからが多く、次にインド、ヨーロッパだった。バイヤーからは渡航制限についての質問のほか、基本的な日本の魅力についての質問、インセンティブ向けのホテルやアクティビティについての質問が多く、特にスキーインセンティブの問い合わせが目立った。催行時期としては2023~2025年の候補地を探しているクライアントが多く、方面ではドバイが人気の様子だった。 参加者は事前にCLEARというワクチン接種証明のアプリケーションをダウンロードし、それを会場で見せてリストバンドを受け取る必要があった。会場内ではマスクを外している人が多く、商談テーブルに感染対策のアクリル板などを設置しているブースはあまり見受けられなかった。 ワクチンの普及によってイベントのオンサイト開催の復活が目覚ましい米国においては、オンラインだけではなくオンサイトイベントへの参加も非常に有効であり、継続していくことが重要であると言える。

会場内の様子 
会場内の様子 
日本ブースでの商談の様子
日本ブースでの商談の様子

【中国市場】

① 11月は新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、いずれの都市でもMICE関係のイベントや旅行は控える傾向であった。中国の企業は1月から12月を一年度として予算を組むことが多く、特に保険会社や銀行は年度予算の考え方が強いため、当初組んだ予算を感染状況も見ながら極力年度内である12月末までに使うべくMICEイベントを実施しているようだが、基本的には研修や会議といった部分がメインで観光要素は最低限としており、観光要素がある場合でも「紅色旅遊」(中国共産党及び中華人民共和国建国のゆかりの地を訪れその歴史を学ぶ旅行)が多いとのことである。
JNTO広州事務所が一部の旅行会社にヒアリングを行ったところによると、以前はインセンティブ旅行の企画にあたってはデスティネーションありきだったのが、コロナ後は予算決定が先にされるようになったことが、最も大きな変化だとのこと。新型コロナウイルスの感染が広まってからは行先がなかなか決められないため、先に全体の予算が決定され、実施に向けてデスティネーションを含めた詳細を旅行会社と詰めていくという形になっている。
② 深圳の旅行会社によると、現在旅行企画にあたって特に安全面は注目されるところであり、ホテルなどの安全対策の情報を欲しているとのこと。日本における安全対策のレベルは高いと認識しているので、渡航制限が解除されれば日本はまた人気の旅先になると期待しているものの、日本の状況回復はやや遅いと見ており、まずは香港や、続いて東南アジアを考えている。
③ 中国・上海を拠点とする旅行・観光産業のトレードショー「ITB China」がオンサイト開催からオンライン開催に変更になり、11月8日から12月31日まで50日間にわたって開催されている。バイヤーはオンラインプラットフォーム上で50ヵ国以上の関連企業の情報や最新商品の情報を閲覧することができ、セラーは中国国内200社以上のバイヤーとマッチング商談、交流ができる。
11月5日から11月10日にかけて、上海で4回目となる「中国国債輸入博覧会」が開催された。オンライン参加の国家展示ホールとリアル参加の企業展示ホールがあり、企業展示ホールには127カ国・地域から約3,000社の企業・団体がそれぞれ出展。企業展示ホールの総面積は36万6,000平方メートルで、すべての出展者や来場者にPCR検査の陰性証明とワクチン接種証明、展示エリア内でのマスク常時着用が求められたほか、新型コロナウイルスの中・高リスク地域に指定されている地域からの参加者は専用ホテルに宿泊させ、交通機関を利用する乗客や展示エリア周辺の主要駐車場利用者は全員検温を受けるなど、厳格な感染対策が取られた。
北京では11月17日より市内への立入制限が強化され、出発前48時間以内に取得したPCR検査陰性証明と、スマホの移動管理アプリで感染リスク地域への立入がないことの表示等が必要になった。会議や研修などのイベント開催においても、主催者は感染症予防と管理を確実に履行し、専門の防疫計画を策定、感染リスクのある者の参加を厳格に防止したうえで、開催期間中は閉鎖管理が求められ、人員は外出してはならない。この制限は来年2月のオリンピック・パラリンピック大会終了後まで継続されるのではないかとの見方もある。
④ 2022年2月4日から3月13日に北京で開催される予定のオリンピック・パラリンピックについて、準備が着々と進められている。開催期間はバブル方式が取られ、大会関係者の会場間移動は新幹線、24時間運行の専用シャトルバス、また専用タクシーで行き来する予定。大会終了後にバブル方式から出る際は、直接帰国する人は組織委員会が実施するPCR検査を受けて帰国するが、中国で引き続き滞在し仕事や生活をする場合は専門家指定の隔離期間を経ることが必要となる見込み。

【韓国市場】

① ソウル観光財団はオンラインイベントのプラットフォーム「3Dバーチャルスペース・ソウル」の新しいバージョンを公開した。e-カンファレンスから仮想展示、マッチング相談、参加者間のネットワーキング、バーチャルイベントなどの機能がアップグレードされている。ソウルで開催されるすべてのイベントに関してPCOやイベント主催側は無料で使用できる。プラットフォームの利用申請を行うと、観光財団がコンテンツ管理システムの権限を主催者に与える。イベント独自のドメイン作成もできる。サーバ利用、プラットフォーム編集に関して利用料は発生しないが、イベント期間中に技術スタッフ支援を希望する場合、実装された機能以外に新規機能を追加したい場合、あるいは韓国語と英語以外の言語を追加する場合は別途費用が発生する。デモ画像はウェブサイト(https://korean.miceseoul.com/vsp)で確認できる。
② 特になし
③ 11月1日から2022年1月まで、3段階に分けて防疫対策を緩和する「ウィズコロナ:段階的日常回復」が開始され、第1段階での国際会議・展示会等における人数制限は、ワクチン接種やPCR検査を受けた人のみが参加する場合は500人未満、そうでない場合は100人未満となった。しかし新型コロナウイルスの新規感染者数がウィズコロナ実施以降に過去最多の1日4,000人以上を記録したため、11月29日に韓国政府は第2段階への移行延期を発表した。
④ 〈競合国の動向〉
香港観光庁が10月28日に「MICEオンライン説明会」を開催し、香港現地の状況やMICEに関する最新情報、新型コロナウイルスに関する防疫情報とワクチンの接種状況、渡航制限の情報等が共有された。MICE支援策についても紹介があり、「MeetON@HongKong」という支援プログラムを通じて80以上のホテル、航空会社のキャセイパシフィック、名地域などが現在各種MICE関連情報及び支援プログラムを提供していることや、来年12月まで香港コンベンション展示センターとアジアワールドエキスポの会場借料を全額支援することなどが発表された。香港では2021年第3四半期のMICEイベントの開催件数が直前の四半期よりも2倍増加するなど、MICEにおいては回復傾向であり、最新施設を整備して今後開催される国際イベントにも積極的に対応しているとのこと。またキャセイパシフィックでは、MICE団体専用カウンターの運営や受託手荷物10キロの追加など、MICE特別サービスを提供している。

【シンガポール市場】

① シンガポールはすでに韓国や米国などアジア・欧米豪のいくつかの国々とワクチントラベルレーンを立ち上げているが、新たにタイ、カンボジア、フィジーなどの国々と12月に追加設置を予定しており、それに伴って旅行会社・MICE企業に少しずつ問い合わせが入ってきている。ある旅行会社によると、インセンティブ案件の問い合わせは2022年の第3四半期以降実施のものが多く、規模は50名以下程度の小規模案件が多いとのこと。一方で、2022年後半に実施予定だったインセンティブ案件を既に2023年に延期した会社もある。
② JNTOシンガポール事務所にも、2022年に実施するインセンティブ旅行の問い合わせがいくつか入ってきている。多くは夏~秋にかけての実施予定だが、一部では春の実施を検討している案件もある。
③ 現在シンガポールでのMICE開催はワクチン接種を条件に、席固定の場合は最大1,000名まで、会場内移動がある場合は最大500名までの参加者とされている。会場内ではさらにゾーンごとに細かく最大人数が定められるが、会場への入場に抗原検査を条件とすることで人数制限を緩和する取り組みも試行されている。
11月16日から11月19日に「ブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラム」が実施され、政府や企業の320人以上のリーダーがシンガポールに集って議論をした。マスク着用、ソーシャルディスタンスの確保、ワクチン接種完了証明の提出などが求められ、特に外国からの参加者は自国出発前とシンガポール到着時の2回にわたってPCR検査を行い、陰性であることが参加条件となった。
11月22日から11月24日に、新型コロナウイルスが流行してから最大規模の対面展示会となる「Industrial Transformation Asia-Pacific 2021(ITAP)」がシンガポールで開催され、約3,000名以上が現地参加した。リアル参加ができない参加者もオンラインプラットフォーム上で各種フォーラムや商談、バーチャル視察などに参加することができた。飲食物の提供はなく、握手の代わりに肘・拳での挨拶が推奨されたが、参加者は展示フロアの100以上のブースを自由に訪問することができた。
④ シンガポール政府観光局(STB)と韓国観光公社(KTO)は、共同でプロモーションを行い、互いの産業に利する技術ノウハウを開発して二国間観光を後押しするための2年間の覚書に署名した。このパートナーシップによって、KTOとSTBのキャラクターが一緒にお互いの国のアトラクションを紹介するアニメの制作が予定されているほか、観光業に資する技術開発を行う相手国のスタートアップ企業の支援などを行う。

【ロシア市場】

① JNTOモスクワ事務所が現地MICE関係者にヒアリングしたところによると、クライアントから見積りや提案の依頼は来るものの、予算面での折り合いがつかなかったり、新型コロナウイルスの感染状況による流動的な規制のために結局実現に至らなかったりするケースが多いとのことだが、ITや金融業界、日用品や化粧品等の中小企業では今年も国内外でインセンティブ旅行を2~3回実施したところもある。方面は多くがロシア国内、もしくはCIS諸国だった。予算節約及び手続きの簡素化のため、ベニューやホテルと直接交渉を始めた企業もある。多くのMICEエージェントはコロナ禍で人員を削減しており、特に地方都市の代理店は閉業したところもあって、地方都市の企業の案件がモスクワやサンクトペテルブルクなどの大都市の代理店に流れている、とのこと。
② 11月初旬に日本の渡航制限緩和のニュースが報道されて以降、MICEエージェントからフライトやビザ手配に関する問い合わせが現地航空会社に殺到した。その後再び水際対策が強化されたことから実際の訪日には至っていないが、訪日意欲の高さが伺える。現地旅行代理店によると、日本のベニューの質の高さや、日本食がロシア向けのプロモーションにおいてアピールポイントだとのこと。
③ 11月は政府による規制が緩和されたことに伴い、複数のMICEイベントがオンサイト開催された。モスクワでは11月11日に「5th International workshop MOLECULA (MICE & FIT workshop)」が、また11月19日に「MICE Excellence forum」が開催された。いずれもMICEのB to Bイベントで、前者は参加者約80名と比較的小規模だったが、後者には438名が参加した。入場にはワクチン接種歴、新型コロナウイルス感染症罹患からの回復歴、もしくはPCR検査の陰性結果のいずれかをもとに発行されるQRコードの提示が必要であり、コードを有していない人は入場ゲート前でPCRの即日検査を受けることが出来た。
11月26日にはエカテリンブルクで、MICE関連の優れた施設・地域・企業等を表彰する「All-Russian Day of MICE and MICE Awards」が開催された。200名以上のゲストが参加し、"Best Overseas Office for MICE Promotion (最も優れたMICEプロモーションを実施した海外観光局に贈られる賞)"は、1位ハンガリー、2位ノルウェー、3位マカオという結果だった。
④ 特になし

転載禁止(©JNTO)
<JNTO担当部署> MICEプロモーション部
 TEL:03-5369-6015 E-mail:convention@jnto.go.jp