サステナビリティ
MICEの開催は、ヒトやモノがダイナミックに移動し、
経済的・社会的に大きな効果を生み出す一方で環境負荷が高いことが
課題となっています。そこで近年、開催都市でのサステナビリティに配慮した
取り組みがより重要視される傾向にあります。こうした世界的な潮流の下、
日本の各都市においてもサステナビリティへの理解や
取り組みが始まっています。
日本の強み
MICEにおけるサステナビリティの取り組み
日本では2050年のカーボンニュートラル達成に向け太陽光、風力、水力、水素やバイオマスなどの再生可能エネルギーの導入を促進しています。中でも太陽光による発電量は世界第3位(2022年)。電力の100%クリーンエネルギー化を実現する愛知県国際展示場や、リサイクル率約90%のパシフィコ横浜をはじめ各MICE施設でも、省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入促進が図られています。
南北に細長い日本は、各地域の特性を活かして、自然が有効活用されています。札幌市では、冬期に降り積もった雪氷を保管し、夏季に冷房用の冷熱源として利用しています。福岡市内中心部に位置する国際会議場であるアクロス福岡等の施設では、ヒートアイランド緩和が期待できる屋上緑化が進められています。
日本は、時代の変化に適応しながら、独自の文化を大切に受け継いできました。1200年以上の歴史を誇る京都では、その伝統を肌で感じることができます。北海道のアイヌ文化や、沖縄の琉球文化など、各地に多彩な文化が継承されています。伝統を重んじながらも時代に合わせた変化を取り入れる文化は、創業100年以上の企業が世界最多であることなどにも表れています。
多様性ある社会の実現に向け日本各地で様々な取り組みが行われています。大阪ではLGBTQ旅行者に向けた情報発信や、観光事業者などへの研修を実施しています。岡山では、ムスリムへの対応が可能な宿泊施設や飲食店に対し、独自の認証を行っています。広島では、郷土料理のビーガン・ベジタリアン対応を進めるなど、日本各地で多様なニーズに対応し、多文化共生が推進されています。
迅速、安全かつ時間に正確な日本の鉄道は日本全国を網羅しており、非常に便利な交通手段です。人口あたりの鉄道旅客輸送量においては、世界1位です(2017年)。各都市では、環境負荷を抑えた水素バスやLRTの導入、地域の事業者が連携したモビリティサービスの提供等、クリーンな公共交通機関の利用促進が図られています。
輸送に関わるCO2排出量を削減するため、地産地消は日本各地で盛んに進められています。千葉市では、市内産農畜産物を積極的に活用、販売する飲食店の登録制度を設ける等、生産者と消費者をつなぐ取り組みを行っています。多様な魚類が住む豊かな海に臨む富山県では、富山湾で獲れた魚介と県内産の米を利用した寿司を富山湾鮨としてブランド化。地産地消と観光資源化を両立させています。
イベント開催においては、レガシーをどのように残していくかが非常に重要です。横浜市では、レガシー創出の一環として、子どもたちが、最先端の技術や情報に触れられる講演やワークショップの併催を促す次世代育成事業が実施されています。MICE開催時に、市内の小学生から高校生までを対象にイベントを行った場合、市より開催経費の一部負担や広報支援が受けられます。
MICE開催においてサステナビリティに配慮したイベント運営が求められています。東京や沖縄では、MICE開催におけるサステナビリティガイドラインを作成し、具体的なアクションを促す事例を紹介しています。大阪では、MICEイベントでのSDGへの取り組み意識を高めるために、「SDGs for MICE 評価制度」を導入し、実践的な改善につなげています。