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2023年05月01日 MICE市場トピックス(4月)

毎月、海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。
①MICE関連の旅行会社や関係団体の動向
②MICE関連の訪日意欲の有無・変化
③現地でのイベント開催の有無とその感染症対策
④その他の特記すべきトピックス、ニュース (特筆する情報がない場合は、当該番号に「なし」と記載しています。)

本情報の転送や媒体掲載はご遠慮ください。※2023年3月末時点の情報です。

【スペイン市場】

①マドリード・コンベンションビューローが3月15日に開催した総会で発表した報告書によると、2022年マドリード市におけるコングレス・ツーリズムは、17.15億ユーロ(約2,470億円)の経済効果を生み出しており、コロナ禍前の2019年に達成した数値の87%に相当した。これによって現地メディアも、スペインの首都におけるMICE業界はほぼ完全な回復への道を歩んでおり、重要な観光セグメントであることを報道している。

②現地旅行会社へのヒアリングによると、日本を含むアジアへの旅行は一般旅行だけでなくインセンティブ旅行において関心度が高くなっており、その中でも日本は最も問い合わせの多いデスティネーションと言われている。今後ワクチン接種証明書提示等各種手続きが不要になることで、より需要が増していくことが期待されている。

③現地におけるイベントの開催が各地で増加傾向にある。2023年1月に行われた欧州最大級の国際旅行博「Fitur 2023」 を皮切りに、2月の世界最大級のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2023」など各種イベントはコロナ禍前規模で開催されている。また特段の感染対策等はなく、多くの来場者で賑わいをみせている。

④3月21日、マドリード市内にて、訪日MICEイベントをJNTOマドリード事務所と現地のMICE業界専門メディアMeet-Inと共催した。今回のイベントでは、訪日MICEの魅力を紹介したほか、日本で実際に体験できる茶道デモンストレーションなどを実施した。他にもカタール航空の日本行き航空券を懸賞商品としたクイズ大会を開催し、参加者は各自のスマートフォンよりクイズに参加し、イベントで紹介された内容の質問に対してリアルタイムで回答し、回答が最も早く全問正解した方が優勝した。このイベントの参加者は現地のトラベルマネージャー、イベントプラナー、インセンティブ旅行専門部門を持つ旅行会社関係であり、参加者人数は91人、75社となった。

訪日MICEイベントの様子(日本のMICEの魅力を紹介)
訪日MICEイベントの様子(日本のMICEの魅力を紹介)
(茶道デモンストレーション)
(茶道デモンストレーション)

【ベトナム市場】

①・最近、海外旅行の需要が高まっていることから、企業も海外でのインセンティブツアー開催を好む傾向にあり、3月には多くのインセンティブツアーが海外で催行された。一部の旅行会社では、一般パッケージツアー催行よりも、日本やヨーロッパなどのロングホール且つ高価格帯のインセンティブツアーの催行が多くなっている。
・多くの旅行会社では4月末からのメーデー5連休に出発するツアーへの問い合わせが多くなっており、加えて、桜シーズン(日本、韓国、台湾方面)と夏休み期間のツアー造成に追われている。インセンティブ旅行についても、連休中に出発するものがあると数社から報告が入っている。

②・日本の水際制限緩和以降、約3年ぶりの桜シーズンとなり一般パッケージツアーに限らず、インセンティブツアーの集客が好調に推移している。3月は桜鑑賞を目的としたインセンティブツアーが多くを占めたが、航空券手配の関係や、混雑を避けるために3月前半に行われたインセンティブツアーも多くあった。 
・4月末からの大型連休を利用したインセンティブツアー、夏休みシーズンに出発する訪日インセンティブツアーの問い合わせも各旅行会社に多く入ってきている。

③観光イベントに限らず、その他各種イベント、経済セミナーおよびビジネスミーティングがベトナム各地で開催されている。ビルや商業施設、レストランなどで最低限の感染症防止対策(マスク着用や消毒液の設置等)はされているものの、人数制限や集会の禁止などはされておらず、ほぼコロナ前の通常生活が戻ってきている。

④JNTOハノイ事務所主催訪日インセンティブ旅行セミナーを3月14日(ハノイ)と3月16日(ホーチミン市)で開催した。主な参加社者はインセンティブ旅行の取扱う旅行会社と航空会社で、ハノイ会場67名、ホーチミン会場は94名の計161名が参加。セミナーでは日本のMICE取り組みや訪日インセンティブの動向、ユニークベニューの紹介、支援メニュー、モデルコースなどを提供した。

      JNTOハノイ事務所主催訪日インセンティブ旅行セミナーの様子
セミナーの様子①
セミナーの様子①
セミナーの様子②
セミナーの様子②

【台湾市場】

①・日台間航空路線の運航便数は、コロナ前の約6~7割水準まで回復、台湾からの直行便が運航されている日本の空港数もコロナ前の約半数まで戻ってきている。地方空港に関しては各社チャーター便の運航・調整を進めており、将来的には定期便化を図りたい考えだが、日本側の空港人員不足のみならず、日本からの旅客需要や就航地周辺の二次交通が課題となっている状況。
【地方空港チャーター運航(一部)】
 3/23~4月上旬:台北・桃園⇔熊本、3/28~4月上旬:台北・桃園⇔米子、4/1:台南⇔仙台 など
・旅行会社へのヒアリングによると、部屋数の多いホテルでも、団体旅行を受け入れておらず、稼働率を50%以下に抑えている他、有名な高級旅館が食事付きプランの提供を中止しているなど、日本の受入側の人手不足により希望の手配が叶わない事例が多数発生しているとのことで、手配に苦労している会社が多く見られる。
・旅行商品の品質維持等に努める中華民国旅行業品質保証協会によると、今年4~6月の海外旅行商品の価格は、コロナ前比ではもちろん高額であるものの、今年1~3月よりも10~20%程度安くなっているとのことで、高騰傾向にあった旅行商品価格が徐々に落ち着いてきている様子が窺える。

②台湾の高級ホテル・君品酒店(パレ・デ・シン)は、「カーボンネガティブ」に向けたキャンペーンを実施すると発表。当該キャンペーンは、「温室効果ガス排出権の購入費用を追加で支払う」「アメニティを持参する」「客室清掃を必要としない」等指定の条件を満たす宿泊客に対して、宿泊料金の割引を行うもので、ホテル業界では初めての取組みになるとのこと。今後訪日旅行に際しても、宿泊施設等におけるSDGs達成に向けた取り組みが重要になってくるものと考える。

③2022年12月1日の屋外におけるマスク着用義務撤廃を皮切りに、2023年2月20日には屋内での義務も撤廃。今後感染状況が安定していれば、医療機関での着用義務は継続となるものの、2023年4月17日以降公共交通機関での着用義務が撤廃される予定となっている。また2023年3月20日には、コロナ無症状・軽症者の隔離義務や台湾入境後の自主防疫措置も解除された他、4月末には感染症法の分類見直しも検討・発表が予定されている等、コロナ関連規制の一層の緩和が進んでいる。

④なし

【マレーシア市場】

①・海外インセンティブ旅行を検討している企業が増加している。日本以外によく検討されている競合国は韓国、オーストラリアとタイ。ドバイへのインセンティブ旅行は徐々に増加傾向にある。また傾向として間際の実施が増えている。
・日本への大型インセンティブに関する問い合わせが増えているが、コロナ前と比較すると座席供給量の減少、航空券の価格高騰がネックとなっている。
・日本人気は引き続き高く、夏から冬にかけてのインセンティブ旅行について企業側から現地旅行会社への見積依頼が増えている。一方、航空券の価格高騰によりコストが上がったため、旅行会社やオーガナイザーはコロナ前と比べ各国政府観光局からの支援内容により注目するようになっている。クアラルンプール事務所では今月、製薬や電機・機械・エネルギー関連企業などが主催するインセンティブ旅行に関して、十数件に上る支援についての問い合わせが寄せられた。

②なし

③現状、マレーシアでのイベントはコロナ禍前と同じ状況で開催されており、特段の制限や感染症対策を講じる必要はなくなっている。

④なし

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