ニュース

2024年01月04日 MICE市場トピックス(12月)

毎月、海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。※2023年11月末時点の情報です。

本情報の転送や媒体掲載はご遠慮ください。

【全世界】

<第62回ICCA総会>
11月12~15日にタイ・バンコクで開催された、第62回ICCA(International Congress and Convention Association:国際会議協会)総会に、JNTOが参加した。APEC2022の会場であったQueen Sirikit National Convention Centerをメイン会場として、世界の国際会議業界に関する様々なセミナー、ワークショップ、各種ネットワーキングイベント、表彰式等が行われ、コンベンションビューロー(CB)、ベニュー、会議運営会社(PCO)、アソシエーション(学会)などのICCA 会員が一同に集い、昨年の約800人を上回る約1,000人の参加があった。また、JNTOは2023年にICCAメンバーシップ50周年を迎えたため、ICCAより木製の記念盾が授与された。

総会では、サステナビリティのショーケースとして、開催地の自治体、CBと連携し、以下の取り組みが行われていた。
■市内交通の利用パス(MRT100 バーツ分、BTS1回分)が提供され、1日目、3日目のレセプションの際に公共交通機関を使って移動することを推奨。バンコクの公共交通機関の便利さなどをアピールする狙い。
■ネックストラップは会期後集めてバッグなどに再利用予定。「リサイクルにご協力をお願いします」というようなありきたりな言葉ではなく、「私を新しい姿に生まれ変わらせて」という参加者の心を動かす文言で訴えていた。
■バッジはプラスチックを使用しない紙製。ラミネート加工などもなく、見た目よりも本質的なエコを実践していた。
■受付時にクリアボトルが渡され、会場にある給水ポイントから参加者が自分で給水。
■紙媒体の配布は一切なく、全てのアジェンダやニュースはICCA総会専用アプリ上で見られるようになっていた。参加者同士のネットワーキングもアプリ上で可能であり、名刺交換不要の工夫が凝らされていた。

本会議全体を通し、気候変動問題、人権問題、サステナビリティなどが取り上げられ、MICE業界が世界の変革をリードしていくとの意識の高さが感じられた。また、会議誘致の際には競合にもなりえる参加者同士が、惜しみなく知識や経験の共有をする場であり、「国際会議全体、MICE業界全体をより良いものにしていく」との気概とMICE業界の団結力が顕著に見られた。同総会には、ICCA会員の学会・国際本部のキーパーソンも参加しており、座学的なセミナーのみならず主催者とのネットワーキングも構築できる国際会議であった。

メンバーシップ周年記念式典におけるJNTOへの記念盾授与の様子
メンバーシップ周年記念式典におけるJNTOへの記念盾授与の様子
ワークショップの様子
ワークショップの様子

【ベトナム市場】

<インセンティブ旅行商談会>
■11月8日、ハノイにおいて、JNTO主催でインセンティブ旅行商談会を開催し、セラー19団体、バイヤー25団体が参加した。来賓にはベトナム観光総局(VANT)長官のカイン氏にお越しいただき、冒頭で2023年の日越外交関係樹立50周年を含めた歓迎のご挨拶をいただいた。本会は、訪日インセンティブ旅行に関するプレゼンテーション、ネットワーキングランチ、商談会という3部構成で実施され、プレゼンテーションでは、JNTOハノイ事務所の職員より、ベトナムにおける訪日観光の最新情報と、10月に行われたMICEファムトリップで視察した四国や大阪のユニークベニュー、ファム参加者の感想等を紹介した。
本商談会に参加したバイヤーからは、「ランドオペレーター経由で訪日ツアーを手配することが多いため、新しいランドオペレーターに出会えるよい機会だった」「商談会で知った新しい情報をツアーに組み込めるかどうか、付き合いのあるランドオペレーターに相談する。今後も同様の商談会があれば参加したい」などの声が聞かれた。

商談の様子
商談の様子
JNTOハノイ事務所職員によるプレゼンテーションの様子
JNTOハノイ事務所職員によるプレゼンテーションの様子

<旅行会社等へのヒアリング結果>
■第4四半期(10月-12月)に向けて社員のモチベーション向上を狙う目的でインセンティブ旅行を開催する企業が増加傾向にある。紅葉シーズンの日本は国内外からの需要が高く、混雑が見込まれることから、ベトナム企業は大型インセンティブツアーの開催を敬遠している様子が見られる。また、経済不況の影響を受け、企業はインセンティブ旅行予算を削減しており、費用が安価なタイや台湾、中国等の近隣諸国を選定する傾向であった。訪日インセンティブツアーは他国と比べ費用が高いこともあり、30名以下の小グループが多くある傾向。11月下旬~12月は年末決算時期(ベトナムは12月締め)のため、企業も繫忙期を迎えることから、日程が長くなる遠方の行先は敬遠することが多い。代わりに、市内ホテルや都市近郊で忘年会を目的とした企業パーティ等が開催される見込みである。テト(旧正月)明けの2月中旬以降にインセンティブツアーが多く再開される見込み。
■JNTOのインセンティブ旅行支援への照会も増えており、通常のインセンティブ旅行よりも高単価(ツアー一人当たり単価約1億ドン・約50万円以上)のインセンティブツアー案件も数件情報を得ており、今後の動向を注視したい。

【台湾市場】

<インセンティブ旅行市場状況>
■コロナ後、台湾からのインセンティブ旅行先は日本が最も優勢となっていたが、旅行商品価格及び航空券代高騰の継続が見込まれることから、2024年の下半期は日本行きが若干の鎮静化を見せると推測する旅行会社もある。
■台湾大手旅行会社によると、長距離路線はオーストラリア及び東欧へのインセンティブ旅行が今後多くなるのではないかとのこと。オーストラリアは季節的な需要のため(涼しくなってくると、暖かい地域への需要が高まるため)、またヨーロッパに関してはサッカーのヨーロッパ・チャンピオンズリーグやフランスでのオリンピック・パラリンピック開催が予定されている等、西欧側では航空座席・ホテルの需要が引き続き高いことから、東欧側が主要市場になるものと考えられている。中でも、今年7月から中華航空の直行便が就航しているチェコは、ワイナリーやお城といったコンテンツも揃っていながら、西欧と比べ観光の費用対効果が比較的高く、旅行会社の関心を集めている。

<インセンティブ旅行におけるクルーズの可能性>
台湾からの堅調な海外旅行需要と、その一方で継続する航空券代の高騰を受けて、台湾の各旅行会社では来年のクルーズ旅行商品販売を進めている。国際的な原油価格高騰と、人手不足に伴う宿泊等各種コストの上昇により、航空便を活用した団体旅行商品価格はコロナ後3~4割程高くなっているが、他方でクルーズ旅行商品の価格はコロナ前後で比較するとほぼ横ばいで推移している。中型クルーズ船の場合、航空機の10倍となる約3,000名を収容出来るため、各種コスト高騰に伴う値上げも分散されることから、旅客にとっても負担が少ない。
そうした中、一般観光のみならずインセンティブ旅行市場においても、クルーズが選択肢の1つとなっている。企業側がインセンティブ旅行でクルーズ船を活用するメリットとしては、以下が挙げられる。
■一度に多くの人数で乗ることが出来る。大型クルーズ船の場合は600~1,000名以上などを収容できるスペースがある他、中小規模のクルーズ船でも500~600名程度が利用できる宴会場を備えている。
■船上の限られた空間ではかえって役職員同士が密なコミュニケーションを取りやすい。また経営側としても参加者を1つの場所に集めやすい。

転載禁止(©JNTO)
<JNTO担当部署> MICEプロモーション部
 TEL:03-5369-6015 E-mail:convention@jnto.go.jp