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2024年04月05日 MICE市場トピックス(3月)

毎月、海外の複数市場について、JNTO海外事務所が収集したMICE関連の状況やトピックスをご紹介します。※2024年2月末時点の情報です。

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【フランス市場】

・2月29日(木)、パリ市内ホテルにて、MICEプランナーを対象としたJNTO主催セミナーを開催した。当日は、JALパリ支店、JTBパリ支店と共に日本のMICE向けコンテンツやサステナビリティへの取組についてプレゼンテーションし、その後、参加者とのネットワーキングを行った。参加したMICEプランナーは18社だったが、うち3割以上がすでに何らかの訪日MICEの予定があり、今後も引き続きフォローしていきたい。3月はスイス・ジュネーヴで、ANAジュネーヴ支店と連携したセミナーを実施予定。
・2025大阪・関西万博の認知度向上に伴い、チケット手配方法や関連する自治体やDMOについての情報を求める問い合わせが増えてきている。特にベルギーは過去7回にわたって万博を開催していることから万博への国民的関心が高いようで、MICE・レジャーいずれも万博への具体的な問い合わせが多い。
・MICEマーケティングの専門会社Interface MICE社がフランスのイベント主催者に対して行った2024年MICEトレンド調査
によると、2023年比較で対面イベントは横ばいだが、ハイブリッド・イベントとバーチャルのみのイベントがそれぞれ8%減、9%減となる見込み。またオンラインでのセミナー・研修も5%減少する。MICE業界におけるオンライン・イベントの需要減少が顕著になっていると考える。
・サステナビリティへの対応が今まで以上に重要になり、デスティネーションの選択に影響を与えると予想されている。旅行先の
選択にイベント主催企業が一般的に求められる対応としては、CSR活動を旅行プログラムに組み込むこと(37%)、航空便よりも鉄道便を優先する(23%)、カーボンオフセット(炭素排出量に対する金銭的補償)を行う(12%)など。ロングホールでどうしても飛行機移動が必要な日本としては、日本に着いてからの電車移動の提案など環境配慮が求められると考える。
出典:MISTER TRAVELhttps://mistertravel.news/2024/02/16/tendances-mice-en-france-interface-tourisme-devoile-son-etude-2024/

プレゼンテーションの様子
プレゼンテーションの様子
ネットワーキングの様子
ネットワーキングの様子

【豪州市場】

JNTOシドニー事務所は、AIME 2024 Expo(2月19日~21日開催)に、2月20日と21日の2日間出展した。AIME(Asia Pacific Incentives and Meetings Event)はアジア太平洋地域最大級の規模を誇るMICE見本市であり、インセンティブ旅行・企業会議・国際会議のバイヤーが数多く参加する。JNTOブースでは37社と商談を行い、そのうち18社は既に具体的な訪日インセンティブツアーのプランがあり、10社は次回以降のインセンティブツアー目的地として日本を検討していた。インセンティブについての質問が9割、ミーティングについての質問が1割くらいで、訪日旅行が間違いなくブームになっており、顧客の多くから日本に行きたいという声が上がっているとのことであった。ほとんどのインセンティブツアーは東京発着でスタートするため、ゴールデンルートに行くことが多いが、河口湖や白川郷という声も聞くことができた。また、毎回ゴールデンルートでは変化がないので、地方の体験を入れたいという旅行会社もあったが、知名度のない地方を旅程に入れることが顧客から同意を得られるか不安であるとの声も聞かれた。 JNTOシドニー事務所では、2024年度も引き続き、地方の魅力を現地消費者により効果的に伝える施策を展開していく予定。

JNTOブースでの商談の様子
JNTOブースでの商談の様子

【マレーシア市場】

マレーシアの旅行会社にインセンティブツアーの旅行傾向に関するアンケートを実施したところ、以下のような結果を得られた。
実施時期:2024年1月24日~2月6日
回答数:51
・訪日インセンティブの繁忙期:12月~翌年5月
・訪日インセンティブの閑散期:6月~8月
・平均人数:20~60人
・平均宿泊数:5泊
・インセンティブ競合国:1.韓国、2.中国、3.台湾・タイ、5.ベトナム
・平均的な申込期間:出発予定日より3-6か月前
・インセンティブ商品造成に有益な情報:インセンティブサポート情報、大型グループを受け入れられるユニークベニューの情報
・主催者からのリクエストが多いWOWファクター:和食体験、パフォーマンス(伝統舞踊、太鼓ショーなど)
マレーシアからのインセンティブツアーは盛んに行われており、日本側の開催地からの情報として、インセンティブツアーへのサポート情報やグループ向けの施設情報、文化体験プログラムなどの情報が求められているので、それらをまとめてWEBやセールスコール等を通じて旅行会社等に情報提供していくことが効果的である。

【台湾市場】

台湾南部・高雄市におけるMICE市場の活況についてはMICE市場トピックス1月号(https://mice.jnto.go.jp/news/topics/2364.html)で既報のとおりであるが、同じく南部の台南市も、積極的に同市内企業や産業等の競争力強化に努めており、その一環としてMICE産業にも力を入れている。
・2022年、台湾高鉄(新幹線)・台南駅の徒歩圏内に、会議室や展示会場を備えたコンベンション施設である『大台南会展中心』が完成。台南市政府経済発展局によると、昨年2023年には展示会16件、イベント29件、会議208件が同会場内で開催され、100万人を超える来場者が訪れたとのこと。今年2024年に入ってからも、ランタンフェスティバルや台南市にある台湾最古の城の建城400年を記念した各種イベントが同市内で実施・予定されていることから、展示会・イベント産業の活況継続が期待されている。
・ランタンフェスティバルは、旧暦の元旦から最初の満月を迎える日の「元宵節(げんしょうせつ)」に提灯を灯す風習に基づい
て行われ、台湾交通部観光署との連携により台湾内の各都市持ち回り開催で、例年世界中から多くの観光客が訪れる祭典である。2024年は2月24日~3月10日の期間中に高鉄・台南駅付近を一部会場として開催され、連日多くの来場者で賑わった様子であるが、ランタンフェスティバルのみならず、大台南会展中心で開催されている展示に関してもあわせてPRをしたことが集客につながったと見られている。
・ランタンの観覧は夜がメインの時間帯となるため、大台南会展中心で同期間に開催され、世界三大蘭展の一つであり、集客力のあるイベントである「台湾国際蘭展」情報もあわせて発信し、「昼は蘭展、夜はランタン」という形で昼間の楽しみ方も紹介したことが多くの来場者獲得に繋がったもよう。台南市政府によると、3月2日時点でランタンフェスティバルの来場者は1000万人に上り、非常に活況となったようだ。

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