誘致・開催レポート

「第12回アジア太平洋薬学生シンポジウム」を開催して

一般社団法人 日本薬学生連盟 APPS2013年度実行委員長 山田 真里香

国際会議主催者の生の声をお伝えする本コーナーの第21回目は、2013年(平成25年)8月に千葉県船橋市で開催された「第12回アジア太平洋薬学生シンポジウム」で実行委員長を務められた(一社)日本薬学生連盟 山田 真里香様よりコメントをいただきました。
「第12回アジア太平洋薬学生シンポジウム」を開催して

会議概要

会議正式名称 第12回アジア太平洋薬学生シンポジウム(APPS2013)
開催期間 2013年(平成25年)8月22日から8月28日まで
開催都市/会場 船橋市 / 東邦大学 習志野キャンパス(薬学部)
参加者数 400名 (海外からの参加者数:390名)

日本として立候補するに至った経緯をご教示下さい。誘致から開催決定までのプロセスについても教えてください。

集合写真集合写真

アジア太平洋薬学生シンポジウムでは、毎回2年後の会議の開催国が決定します。日本の開催に際しては、国際本部から開催の依頼があり、第12回アジア太平洋薬学生シンポジウム(APPS2013)実行委員会の立ち上げをゼロベースで行いました。

Work Shopのディスカッションの様子Work Shopのディスカッションの様子

国内の開催都市は決まっていなかったため、日本政府観光局(JNTO)の協力を受け、都市選定を行いました。国際会議開催は初めてで右も左もわからなかったため、JNTOの担当者には親身に相談にのっていただきました。これまでの国際会議開催支援の経験を踏まえたアドバイスに加え、私たちの気付かない第三者の目線で中立的な意見をたくさん頂きました。特に、開催都市を選定する際のアドバイスは非常に役に立ち、たくさんのコンベンションビューローをご紹介いただいた上で、各都市を比較しながら選定することができました。より広い視野をもち、包括的に問題点を解決する手助けをして頂いたおかげで参加者の満足度の高い国際会議を開催することができたと思っています。

誘致に際して望まれる支援(国、地元コンベンションビューロー等から)をご教示下さい。

Welcome partyでの琴の演奏Welcome partyでの琴の演奏

開催地の決定や予算額の調整は、どの組織においても苦労されることと思われますので、会場費用の優遇措置や、資金面や物品による支援は喜ばれるかと思います。また、主催者のなかでも国際会議開催に慣れていない方も多いと思いますので、親身になり相談を聞いてもらうことも大変ありがたいです。

会議を実際に開催するにあたって工夫した点、をご教示下さい。

各国の代表が集うRM(Regional Meeting)での集合写真各国の代表が集うRM(Regional Meeting)での集合写真

運営にあたり、委員会全体として最も重要なことは「参加者」ですが、組織の幹部が最も大切にしなければならないのは「一緒に運営していく仲間」だと思います。APPS2013実行委員会を立ち上げた際は、Twitterや口コミなどを通して仲間を集めたため、初対面の人が多数でしたが、そうした中で人の意見を尊重し、できるだけ皆の意見を取り入れるよう心がけたことで、より円滑に運営を進められました。

経費集めには最後まで苦労をしましたが、社会的に共感の得やすいテーマ設定が成功の鍵だと思います。また、厚生労働省及び文部科学省から後援名義を頂くことができましたが、要となる後援をたくさん頂くことで、国際会議に社会的意義を見出すことも大切だと感じました。

参加者集めには特に苦労はしませんでした。日本での開催ということで、多くの反響を呼びました。

当日の運営では、予想しなかったことも多々ありましたが、「参加者に会議を存分に楽しんでもらう」という目標に向けて連携を固め、臨機応変に対応しました。 各国の代表が集うRM(Regional Meeting)での集合写真

会議開催において心に残ったことがありましたら、ご教授ください。

International Partyでの各国の発表International Partyでの各国の発表

国際会議の運営は初めてで、思い通りにいかず悔しくて涙を流すこともたくさんありましたが、いざ当日を迎えると本当にあっという間に1週間が過ぎていました。

開催中に参加者から直接いただいた感謝の言葉、そして皆の笑顔が、「開催して本当によかった!」「APPSは成功した!」と、多くの運営スタッフの心を動かしたと思います。スタッフ全員が全力で取り組んでいる姿は頼もしく、また素晴らしい仲間との出会いもあり、大変意義のある国際会議になりました。

開催時には、予想外の出来事もたくさん発生しました。伝統衣装を着て参加するイベントでは、お酒が提供される場で伝統衣装を着用することが禁じられている国の参加者に「今すぐホテルに帰りたい」と主張されたこともありました。バスの出発時刻まで時間があったため、急遽周辺の観光案内を提案し、観光中に、配慮が届かなかったことへの謝罪をしたうえで、観光の要望を聞きながら会話を進めていく中で、お互いに理解し合うことができました。

今後充実してほしい支援として、日本の交通網は外国人には複雑であるため、貸し切りバスの資金援助等あれば、より国際会議の開催がしやすくなると感じました。

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